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イエヒト

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ヨシコの写真のお仕事でついていき、あるお宅にお邪魔し、製材所の人と大工の棟梁、設計士さんとお話する機会を得た。家というものについて、かなり奥深く教えていただき、また誰しも温かな人柄でありながら、かつそれぞれの仕事に誇りを持っているのだ。

設計士さんのお話だと、例えば床暖房。それを可能にするのは死んだ木、床だという。何故かと言うと、生きている木は温度によって伸び縮みするのだから、床暖房をするととんでもないことになるという。設計士としては先々を考え、生きている木を使いたいという想いが強く、また床暖房を入れなくても暖かくなる設計はあるのです。さらに無垢材を使いたい理由として、生きている木を使うと年月とともに色が変わっていく楽しみがあること。それはあたかも住んでいる人とともに歳をとるような気配があって、それはまた家も人と同じく呼吸しているという、素敵なことなのです。

また製材所の人にお話を伺うと、今度は焼き杉について教えていただきました。この家の外壁を覆う焼き杉はバーナーで炙るような既製品ではなく、本当に木材を燃やし、自然の炎で焼かれた杉を使っています。それを作るときも、皆でバーベキューをしながら、のんびりとかつ楽しく家を作られたそうです。またその方は木材を本当に愛しておられ、ひたすら木材の話を教えてくれる。

例えば、寒時期伐採について。寒い時期になると木は自然と水分を根に下ろすそうです。幹に水分があると寒気で凍結し、ひび割れるそうで、自然の摂理として、そういうことが営まれるそうです。その時、木は栄養素も含め、濃い木、締まった木となり木材としては最高のものとなるのです。それをこの地域では寒切りというそうですが、それは数値的なデータの積み重ねではなく、山で仕事をしている人々の経験と、言い伝えに基づいているということに驚きました。

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そして大工の棟梁と、製材所のおじさんは外壁の焼き杉を見て、あぁ、本当にいい色になってきたなぁと、目を細めておられます。また床材の木目についても、色々と教えてくださり、この木目は木が自分を守ろうとしてできた木目であるとか、木が製材されても、本物というものはいつまでも生き続けるということ、また、燻製すると虫もつかない建材として使えるということを学ぶ。

燻製するとどうして虫がつかないということを、人は知ったのですかとたずねると、棟梁は優しい目をしながら、昔の人はね、土間にかまどや、家に囲炉裏があって、家の木材は自然と燻されていたんですよと教えてくれる。また木というのはとてもエネルギーがあって、東大寺の瓦をはずした時、それを支えていた木材が、はずす前よりも70cmも伸びたという。

あれもこれも質問しながら、大笑いの連続。家を建てるときのコツなど、それはそれは多くのことを教えていただき、また楽しい時間を共有できました。知識と経験というものは、代を重ねるごとに豪壮となっていくということを実感。また家というものは、それぞれの時代の生活や文化の縮尺図のようなものだということを知るのです。

そして今は勝ち組、負け組みを称し、資産で人の人格まで計るような世界において、そのような尺度をものともせず、信念を持ってオープンシステムという仕事に取り組む人々に出会えたことに、喜びを感じるとともに、雑誌イエヒトの編集長の言葉として、これからの時代は「環境」を考えること、そしてその次に人を利益を生み出す手段とはしない「人道」を考える時代を迎えなければならないということ力説され、僕たちも心から賛同し、そうあるべく生きていきたいと願う者なのです。

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