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吹雪の針畑どんどは温かな希望の炎なのだ

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点火ちょっと待ってー!そんな声をよそに、とっくに燃え上がる針畑のどんど。今日は旧正月なので、嵐が来ようが、雷が来ようが延期はなし!とおばあちゃんがその意義を教えてくれる。今年で7回目を迎える針畑のどんどは、昔から住む人をも巻き込んで、ゆっくりと根をおろしつつあるのです。

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働かざるもの食うべからず。針畑で昼食をいただけることを知ってヨシコが宣言。朝からこの祭りを手伝うぞ!と、5時半に家を出て、途中、近江高島の近くで朝日を見る。琵琶湖がオレンジ色に染まって本当に美しい。早起きは三文の得とばかり、バスに乗り換え朽木まで。バスの運転手さんは、右に曲がりま~す!左に曲がりま~す!と声をあげ、お年寄りに配慮されているのか、とても温かみがある。下荒川から乗車した小さな子どもが暴れだすと、危なーい!まだ座ってなさーい!と運転手さんが注意。その子たちもすぐにおとなしくなるのです。

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ぎゅぎゅぎゅ。雪を踏み固めて祭りの場をつくっていく。朽木からさらに1時間乗ったバスの運賃が220円という安さにビックリ。お願いだから高島市さん、もっと料金を取らないとこの地域を活性化するためにもお金が落ちませんよと嘆く。せめてお年寄りの多い地元の方は格安年間パスで、僕たちのような旅人からは、きちんと対価を払えるようなシステムが必要だろう。ともかく着いてさっそく、祭りの準備を大人から子どもまでせっせと働き、杉、茅(かや)、葦(よし)と積み重ね、どんどを作っていく。葦を触っていると、2ヶ月前の針江での葦刈りに参加したことを思い出す。僕たちの旅もどんどんとつながっているのだ。

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トントントン。吹雪いてきたので、ひとまず餅を山帰来という施設でつきます。Mさんが、用意してくださったお米がみるみるとおいしい餅へと変わっていく。薪ストーブの横でおばあさんが藁(わら)で紐を編んでいて、どうしてそのように編めるのかと聞くと、まぁ、難しいことは覚えませんが、藁を編むのはどうしてか覚えておりますなぁと、経験からくると言う。終始ニコニコ、走り回る子どもたちを見ては、あの子はどこそこの子と誰もかもご存知で、この地域の人間関係は、とても密接なものがあるのです。

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どんどのためにお宮参り。吹雪の中、服2枚で走り回る子どももいる。子どもは風の子、ほっぺを赤くしてケケケとばかりに笑っているのです。真っ白な世界にパッと番傘が咲く。その下でおじいさんが顔に刻まれた年月をくしゃりとさせて、優しい眼差しをくれる。そして膝まですっぽりと入る雪の中、いよいよ針畑どんどが佳境を迎えます。

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大きな炎が吹雪きの中、真っ赤な色を撒き散らす。時たまパンッという竹の爆ぜる音が谷に木霊して、書初めが空にのぼります。毎年、年男、年女が火をつける。今年も大阪から来られた方もふくめ点火されました。ただでさえ真っ白な世界なのに、風下となるとその煙がすごくてさらに真っ白。どんどの周りに紐で年男、年女の人以外の人がどんどに近づけないようになっているのですが、盛り上がってくると地元のあるおばあさんが、子年じゃない人も入るよー!と駆け出して、僕たちもそれに続く。おばあちゃんは走りながら、私は未(ひつじ)年よー!と叫んで炎に向かっていくのです。

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誰もが幸せな瞬間。漆黒の闇に灯る光は、安心感も生む。皆が自然と円となって眺めているのです。この前後で皆と食事をしたのですが、用意してくださったものは、全て地元で採れたもの。乾杯の音頭をとられた方は声高に、ここには野菜も米も鹿も猪もあるぞ!という。また73歳のおじいさん(まだまだ現役!)とお話していると、石油がなくなる?森に行って薪を採ってくればいい。中国産が今は問題だ?それは田んぼで米をつくり、畑で野菜を育て、川に行って魚をとればいい。おかしなものを食べるから、おかしな病気になる。お金はあまり必要でなく、自然の恵みがここにはあるのだと。

Harihata11

この日に針畑郷の方々と議論したことを書き出すと本になりそうなぐらい濃密なものがあったので省略しますが、この日の最後にこれだけはお伝えしたいと思う。小さくなりゆく炎の前で、ひとりのおじいさんが突然、大きな声で言う。今年も豊作でありますように、ばんざーい!!と。そして僕たちもつられて「ばんざーい!!」と3唱する。そして次に、おじいさんはこう言った。この恵みが琵琶湖まで届き、皆さまにも恵みを与えてくれますように、ばんざーい!!と。僕は思わず泣きそうになりながら、両手をあげて「ばんざーい!」と叫んだ。目に見えぬつながりを大切にする人々の意思を、どうか感じてもらい、川の流れとともに海まで届いて欲しいのです。ぜひぜひ、針畑郷へ。

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