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2008年5月

相棒

Ume1

ちょっとヨチュオさん、昨日のこと覚えてる?

寝ぼけたアタマから、ゆっくりと紡ぎだされる楽しき記憶。口元に残るお酒の香り。昨日はヨシコの友達が家に遊びに来るとあって、朝からせっせと準備する。文化鍋からのぞく豚の角煮、すり鉢には白和え、玉ねぎをサクサクと切る音が台所から聞こえる。ヨシコが料理担当ならば、ボクは部屋の掃除担当。乾燥させている恐ろしく臭い葉っぱ(ヨシコよ、あれは何だ?)をお風呂場に閉じ込め、本を整理し、畳の目に沿って掃除機をかける。

真剣なヨシコの邪魔をするのは禁物。日野町のUさんを見習って、お客さんを迎えるための花を探そうと、近くをブラブラすることに。

Ume2

野に咲く花はないものかと物色するのだが、あいにく雨が振り出した。キラキラと水滴が若葉にはじける。

あれ?

よく見ると梢から白い花がこぼれるように咲いているではないか。さっそく少し拝借しようとハサミを枝元にやろうというときに、ひとりのおばあさんが手押し車を押しながらすぐ横まで歩いてきた。極度に曲がった背中、視線はずっと硬いアルファルトにそそがれ、雨をさえぎるための傘もあって、頭の上の花を見ることはない。晴れた日なら芳しい匂いだけでも感じることができるだろうか。ハサミに最後のチカラを入れることなくポケットに戻し、我が家の前までブラブラと戻る。雨に打たれる草花の上には水玉。少しずつ大きくなるプチトマト。

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家のまわりのゴミ掃除をしていると、階下のパン屋さんの娘さんにバッタリ。あれー?掃除してくれてるのー!?近所にそんなんする人おらんでぇ。表彰状あげやなあかんなぁと、喜ばれる。

調子にのって共有部分のベランダをモップで掃除していると、汚かったのかヌルヌルしてくる。これは一度、水で流さないと!と思い、ホースを取り出して台所の蛇口に取り付けようとすると、きんぴらごぼうをつくっているヨシコと蛇口の争奪戦になる。結果は敗戦。真剣なヨシコの邪魔をするのは禁物なのだ。ベランダにもどると、この家に引越ししてきたときにパン屋さんからお祝いにといただいたブーゲンビリアが、赤々と咲いていた。

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今から迎えにいくよー、ヨチュオさんが。

えっ!?ボクだけですか?

ヨシコの友達から電話がかかってきて、近くの駅についたらしい。てっきり二人で迎えにいくと思っていたのであわてて雨の中、自転車をこいでいく。そこには予想以上に大きな男の人と、ヨシコの友達。何でも話しを聞いてくれる天使のような二人とガブガブお酒を飲んで、ヨシコのおいしいご飯をいただいて、気づけば天国へ。

Ume5

ちょっとヨチュオさん、昨日のこと覚えてる?

はい、覚えてますよ。

ヨシコは昨日あったことをあれこれ話ながら笑っている。本当に女の人は何でも覚えていて、昨日の彼の言葉を借りるとするならば、男は上書き保存、女は名前をつけて保存。ヨシコの話を聞きながら、ボクは昨日の思い出を再構築していくのだ。

映画「相棒」を見て以来、ヨシコはすっかりTVドラマ「相棒」にご執心。早くご就寝すればいいのに、借りたDVDを朝まで見ることもある。どうやらまた借りに行きたいらしく、散歩しに行こうという。玄関のトビラを開けるとそこには雨雲。ヨシコに今日は雨が降るの~?と聞くと、予報では雨は降らないから傘は絶対にいらないよ~♪と準備しながら叫んでいる。

あっそう。傘はいらないんだねぇと思いながら、さっそく傘を手にとって、のんびりと玄関前で待つ。

お待たせ~っとヨシコが出てくると、視線を下に、手に持ったボクの傘を見て言う。

あら、奇遇ね。私も折りたたみの傘を持っているの。

そういいながらカバンから黄色い傘をパッと出して笑っている。だいたいボクの相棒はいつもこうだ。

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夜にはヨシコが梅酒をつけた。また1年たてば飲めるだろう。台所の下には4年前の梅酒など、何本ものビンがある。将来はもっと大きな台所が欲しいなぁ。そこには1年ごとの梅酒が何十本も並んで、皺だらけの相棒の手がその封を切ることだろう。その梅酒が向かう先には友達や家族がいて、おいしいご飯があれば嬉しいなぁ。

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月と風、太陽とチェチェメニ

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おいしいなぁ。

朝は月。ヨシコは階下のパン屋さんのパンを頬張る。それはクレセントというパンで、三日月という意味を持つ。焼きたてのパンは、やっぱり香ばしいのだ。

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お昼は風と太陽。国立民俗学博物館でチェチェメニ号をまた見に行く。風のチカラでこのカヌーが遥かサタワル島から沖縄までたどり着いたのだから、やっぱり気になる存在。今日は博物館のビデオ資料室で高知の碁石茶や、阿波の番茶について学ぶ。

高知県大豊町に伝わる碁石茶は発酵させて、固めたお茶。そして最後は太陽のチカラを借りて乾燥させていく。日本にはこうした伝統的な発酵茶があって、作り方を見ていると本当に大変な作業なのだ。一度飲んでみたいけど、どうも酸っぱそう。

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夜には一番星があらわれた。夕食に昨日いただいた天日干しされたお米を食すと、もちもちのふわふわっ!やっぱりコンバインで刈り取り、そのまま乾燥機で乾かすのではなく、稲木でゆっくりと天日干しされ、その養分が米にいくからでしょうか。甘みをすごく感じます。千早赤阪村のほうではまだまだそのような風景が見られるから、そのあたりの米も食べてみたいなぁ。

最後にヨシコお手製、四年ものの梅酒を味わいながら、すべて食卓にあがるものには多くの工程があって、本当に大変なことだと感じる。今では換金性を考え、昔ながらの製法では採算がとれないなどの理由で、多くの新しい生産方法があるわけだけれど、そこは北風と太陽。イソップ童話が言うように、食物を作る、その同じ目的には色々なやり方があるわけだ。

だからそこからチェチェメニ。チェチェメニとはサタワルの言葉で「よく考えろ」という意味。食の安全も含め、これからの食をどのようにしたいかは、生産者のみならず、消費者にも大きな役割があると思う。

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日本晴れ

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うわぁぁぁ、楽しそうっ!!

ヨシコがおいしいコロッケを食べに行こうというので、またまた比良へ。電車から見る比良は田に水が入り、青々とした苗が風になびいている。来るたびに変化する里山の景色。我が隊の目的は変わらぬ里山の味、ほっとすていしょん比良。駅の改札口を出ると、思わぬ光景に出くわした。

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このどこかに母ちゃんがいるよ。そうおっしゃるのはヤマカワ父さん。眼鏡のむこう、細く優しい目が、眩しさと楽しさでさらに細くなる。大津市の自然家族事業、親子家族で自然に学び、自然を楽しむ里の日として、25組のご家族が、北比良グループや、ボランティアスタッフの指導のもと、田植えに精を出していたのです。ヤマカワ父さんに聞くと、募集は25家族に対し、270名ほどの応募があったとか。田植えから刈り入れ体験まで、家族で年間5000円という安さにも驚きましたが、何よりも子どもに自然を体験させたい親子が多くいることに、嬉しさいっぱいです。

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でもよく見ると、子どもだけでなく大人も田植えが初めてなのだ。それはそれは好きなとこから田植えがはじまり、それを見つめる指導者ヤマカワ母さんは、とにかく植わったらええねん的にあたたかく見守られます。その昔、苗のあるところまでで今年の田植え終了っ!と言った男気満点のN翁の気風が比良にはあるのでしょうか。

パンツ持ってきているからドロドロになってもいいよーっ、という母の声を聞いて、その子どもは喜んでどろんこになり、苗を丁寧に植えていく。また違うお母さんの背中をよくみると、乳飲み子を背中に背負いながら参加されている方も。北比良グループのサワさんは、80歳を越えられているとは思えない動きで、どんどん植えられる。あぁ、たくましきは母なり。

新聞社のサトウさんにもバッタリ。いつもの笑顔で、今の季節が最高だからいい写真を撮るんだよーっと言いながら、また田んぼの方へ。ほっとすていしょんの横では比良に住む、沢ガニや、カエル、ヤゴ、イモリなどの水生生物が水槽にいて、それを見た子どもたちの目が輝く。そんな子どもたちにヤマカワ父さんが、カエル捕まえたら、持ってかえってくれー。夜になったら喧しくてかなわんねんと、笑いながらお願いするのだ。

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あの~、地元の方ですか~?ほっとすていしょん比良で、コロッケ定食と、米粉ピザをいただき、お腹いっぱいで「迷いの森」を歩いていると、自動車の中から不動産の営業マンに声をかけられる。どうやら道に迷われているらしく、ある雑誌の編集者Fさん2号発見ではないか。すると地元ではありませんが、地元の人のようにこの森は分かりますっ!とヨシコが自信満々に道案内。すっかり感謝されながら、車のテールランプを見送った。

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はじめて比良を訪れたのは去年の11月。この森は冬にむけ葉を落とし、木々の間から空がずっと見えていた。それが今はどうだ。鬱蒼とした森になり、爽やかな新緑の道にときたま放たれる濃密な花の香り。そして小さな世界で繰り返される生と死。アリが生を終えた昆虫を巣まで運び、ふたたび新たな生命に受け継いでいく。木々の間を鳥が鳴き、ヨシコの携帯から着信音である獣のガオーっ!ガオーっ!という音が鳴る。電話の主は、ギャラリーskogのマダムさま。さっそくskogにお邪魔すると、どうぞとばかりコロッケをいただいた。

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そこからはマダムの情熱コース。さっそく近くの草庭さんに連れて行ってくださいます。指物、桶物、刳り物、挽き物と、工芸についてお勉強。このようにマダムはとにかく比良の素敵なところを見て欲しいと、すぐに飛んでいくのです。そして草庭さんから一歩出ると、あら、そう言えばここは百間堤が近いわねぇ、ぜひ見て欲しいのよ~。行くわよっ!いやいや、マダム。前回、連れて行ってくださいましたよ。あら、そうだった?お見送りくださいました草庭さんも、大笑い。

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さぁ、雲ひとつない比良の空の下で、様々な土地から集まった人が、心をこめて手と足で植えた苗は、これから多くの困難を乗り越える。あっち向いたり、こっち向いたり、水の中に落ち込んでしまったり、一箇所に集まって何やら窮屈そうだったり、ひとりだけ立派にそそり立ったり。それは機械ではなく、人間だからこそ。今は秩序なき苗も、少しずつ大きくなって、風雨の数だけその関係は近くなり、皆で風にゆられる楽しい秋がやってくる。今日、植えた苗は「日本晴れ」という品種。収穫の季節には、またたくさんの人がやって来るだろう。そのとき誰もが感じる比良にふさわしい名前なのだ。

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小さな実り

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我が家で育てているプチトマトに実がなった。こないだまで黄色い花を咲かせていたのに、いつの間にトマトになったのだろう。いつも食べている食材がこのように変化し、食卓にのぼることを学ぶに、とてもいい機会なのだ。となりの酒屋さんがわざわざ自家製漬物を持ってきてくれる。そのときもトマトを見て、あらまぁ、と一声。皆に見守られて大きくなっておくれ、プチトマト。

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空を見上げると不思議な雲を見た。小さなベランダでも様々な変化が見れることに気がつく。大切なのはそれを見ようとする気持ちなのだ。台所では昨日買った文化鍋で、ヨシコが楽しそうに煮物をしている。醤油の何とも言えない匂いに誘われて、そそくさと部屋に戻るのです。

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ヒトミワイナリーにアン・サリーの声が響くのだ。

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朝から永源寺そば屋さんに吸い込まれるヨシコ。
お願いだから、手を振って歩いてね。

さて今日も気持ちよく起きたヨシコは、テントから出るなりペグ(テントやタープを張るロープを地面に固定するための金具)で、これまた気持ちよく足を強打し、一気に不機嫌になる。すぐさま「そばを食べに行こう!」と声をかけると、目を輝かせ、さっきまで摩りながら「もう歩けないよ」と泣いていた足をもって、スタコラサッサと歩き出す。

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永源寺そばをズルズルッとすすって、マイタケの香りを楽しみ、炊き込みご飯をいただいたなら、デザートがほしいとのご希望で、また森の中を歩いて池田牧場へ。今日はミルク&抹茶のジェラートで大喜び。ボクは抹茶が苦手なのに、どうぞどうぞと食べさせようとする。それに抵抗していると、ヨシコサンダーVSヨチュオハリケーンの戦いなのだぁ!!と、訳のわからないことを言いながら、それでも抹茶ジェラートをボクの口に入れようとするのだ。

食後はテントで古城梅にごりワインを飲みながら、昼寝。なんたる贅沢。春の風がそよそよと気持ちよく、新緑の下でスヤスヤと眠ってしまう。

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さぁ、アン・サリーのライブに行こう。お気に入りの服に着替えたヨシコは、あいにくの空模様を見ながら、大丈夫!こんな天気になるだろうと、折り畳み傘を買っておいたからね!ババッと広げて見せるけれど、どうみてもひとり用だよ、ヨシコさん。

テクテクと散歩しながらヒトミワイナリーへ。途中、黄色いカサにお客さんがくる。ぶらぶらぶらぶら、ミノムシだ。ミノムシもまさかこんなところにカサが来て、そのまま糸が絡まってどこかへ連れていかれるとは夢にも思わず、目を白黒させている。ミノムシさんは独り立ちが早いね~。そんな立派なワンルームに住んで~、と言いながら、ヨシコはミノムシをそっと森へ帰した。

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はい。白の辛口ですね。ヒトミワイナリーではワインの試飲ができるので、さっそく白の辛口をお願いすると、注ぎ口から赤ワインが出てきて対応された店員さんといっしょに大笑い。結局その赤ワインをもらい、リュックにつめこんだ。他にも色々と試飲して、少し酔う。

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こちらは歌声に酔いしれる。アン・サリーさんの声が美術館に響きわたり、子どもたちの笑い声や泣き声がハーモニーとなる。そんな温かな雰囲気の中、蘇州夜曲とともに降り出した雨の音が重なっていく。そしてヨシコが大好きな「こころ」と言う歌がはじまった。

わたしのこころは湖水です
どうぞ 漕いでお出でなさい
あなたの白いかげを抱き
玉と砕けて舟べりへ散りましょう

わたしのこころは灯火です
あの扉を閉めてください
あなたの綾衣の裾にふるへて
こころ静かに燃えつきてあげましょう

わたしのこころは旅人です
あなたは笛をお吹きなさい
月の下に耳傾けて
こころ愉しく夜を明かしましょう

わたしのこころは落ち葉です
しばし お庭にとどめてください
やがて風吹けば さすらひ人
またもやあなたを離れましょう

そんなアン・サリーの歌声に心震わせ会場を後にすると、外は冷たい雨。カラダ震わせ誰もいない漆黒の森へと帰る。すでにライブは終わっているのだが、まだ耳にはしっかりとやさしい声が残っていて、どこからとなく聞こえてくる。

ヨシコのこころは臆病です
テントの扉を閉めてください
ランタンの下でワイン傾けて
こころ愉しく夜を明かしましょう

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永源寺でゴロゴロふたりテント旅

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朝起きるとテントの外から川の音と鳥の声が聞こえてくる。外に出てみるとトカゲがカサコソと落ち葉の上を走っていくのが見えた。ヨシコが起きてくるまでに川の中に石を使って自然の冷蔵庫をつくる。川の水がとても冷たいので、これならすぐに冷えるだろうと、朝からお茶を、そして夕刻にはワインが冷やされることに。

むくりと起きたヨシコが開口一番。
ヨチュオさん、お腹すいた。ご飯を食べよう。

あの~、ヨシコさん。聞き間違いではなければ昨晩、食べすぎによる本日絶食宣言をしていましたよね?

いいえ、していません。

あっ、そうですか。それでは参りましょう。

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コシアブラ~っ!

これは比良のヤマカワさんに報告せねば。山道を歩いて旅をするからこそ見つけられる山の味覚。山菜の女王は高枝バサミがないと届かないなぁ。あっ、ウグイスが鳴いている。ヨシコもご機嫌なのかさっそく真似をする。

ホ~っ、ヨシコッ!!!

いやいや、どう聞いてもホケキョだよ。

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近くの池田牧場へジェラートを食べにいく。おいしい、おいしいと連呼するヨシコ。そのまま開店直後の田舎の親戚「香想庵」という田舎料理屋さんに吸い込まれていくところがスゴイ。どんなお腹やねんと思いながらもついて行き、有機米、タケノコと山菜の天ぷら、岩魚の醤油煮、ワラビ、おからのサラダ、鹿のロースト、ちまき、再びジェラートなどなど、ヨシコのお腹に消えていくのです。

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父ちゃんは、ビールが飲めず、ご消沈。

ヨシコがボクの心の声を代弁してくれる。池田牧場から永源寺まで歩くのだが、車がどんどん通るので危険だなぁと思い、轢かれてはなるまいと、車に合図を出しながらの散歩道。このあたりは秋の紅葉がキレイだそうだが、新緑のこの季節も美しい。こんなときはビールをグビグビっといきたいものだが、不思議とどこにも売っていないのだ。

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永源寺を散策した帰り道、やっと缶ビールを発見!きゅうりをまるかじりしているご婦人の横でプシュッ快音をたて、目の前の川に足をつっこんでは、その冷たさをカラダで感じるのです。

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ヒトミワイナリーにつくと、染織家の野田浩二さんがおられました。お話していると、明日のアン・サリーさんのライブのチケットを手織りされているのです。よく見ると、野田さんが染めた布に、アン・サリーのサインが入った贅沢なもの。それを人数分丁寧に5月の節句をイメージして兜のカタチにされていくのですから、本当にありがたいものです。明日のライブがますます楽しみになってきました。

ヨシコは「去年は怖い野田さんとお話したけれど、今年の野田さんは優しい人だなぁ」と笑っている。そういえば去年の今頃、カヌーイストの野田知佑さんとお話してたっけ。

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ワインかついで小さな我がテントにもどる。ヨシコは明日のライブにむけて、ザックから一張羅、かわいい服をとりだして、シワをのばすべく水をつけてテントの屋根で乾かしていく。本当に楽しみなんだろうなぁと見ていると、そんなときに限って悲劇が起こる。風か何かわからないが、いつのまにか地面の上にばっさり落ちて、白い服が土まみれ。ぎゃぁぁぁあ!!!ヨシコは意気消沈。無言で水場で洗いだす。

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ブンっ!ブンっ!

青空の下、水浸しの白き服をヨシコは手動乾燥。横でのんびりしているボクにめがけてブンっ!と一振り。ボクが冷たっ!と言うと、「あら、もうちょっとね」と言う。何?ちょっと怒ってるの?と聞くと、洗濯ヒモをヨチュオさんが忘れた恨みよーっ!と笑っている。

目の前の川で、小さな女の子3人が、川の水で櫛をぬらしては髪をとくというお洒落ゴッコ。その子たちにむけて、「大人はこうやって洗濯物を乾かすことを学ぶがいいっ!!」と豪語するヨシコ。そのままブンっ!ブンっ!と20分間振り回して「いよいよ最終章っ」という掛け声とともに、洗濯物が乾いたのには驚いた。その根性に脱帽。

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きれいになった服をみて、ご機嫌ヨシコ。1本飲み屋ヨシコ、開店よーっ!という合図とともに、ワインを空ける。パチパチとはぜる焚き火を前に、今日のこと、明日のことを話してはゲラゲラと笑う。

ふぅ。ヨチュオさん。

今日は食べ過ぎたから、このオカキは半分にするわ。そう言って、オカキを半分に割ってボクにくれる。

ポリポリポリポリ。

ふぅ。ヨチュオさん。

今日は食べ過ぎたから、このオカキも半分にするわ。そう言って、またオカキを半分に割ってボクにくれる。

それを何度も繰り返すヨシコ。

それなら最初から一枚ずつ食べればいいのに。

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日野祭(本祭)ドタバタ珍道中

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久しぶりだなぁ。よく来たなぁ。てっきりお昼を一緒に食べると思ってよ!近江牛がよ!だから財布に5万円入れてきたらよ!2万円しか入ってなくて、そらビックリした!

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針江で知り合った日野町の古老Sさんは、今日もお元気。さっそく日野祭を案内してくださいます。最近までアルバイトで2tもある神輿をよ!担いでよ!60kgの米俵も持ったがなぁ。おっ、綿菓子はいらんか?綿菓子?孫に買ってあげることを思ったらよ、安いもんでよ。おっ、丁稚羊羹(ようかん)。

すみませーん。羊羹2個、いや、3個ください。

せっせとヨシコとボク、そして昨日からお世話になっているUさんの分まで買おうとされます。Sさんはともかく目についた物や人をかまうのが大好きなのだ。

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大阪から来ていた大学生を捕まえて、どこかで失くしたタバコのライターをちゃっかりもらって、やっぱり都会の子は違うなぁと、孫の年になるような子らに目を細め、祭りの馬にちょっかいだそうとして、地元の青年に怒られる古老はそういないだろう。ヨシコはヨシコで、モンペみたいなズボンが日野町のおば様方の興味をひいたようで、このズボンはどう作っているのだと、ひっぱられながら、ギャザーがどうだとか質問責めにあっている。

西日を受けながら喉が渇いたと茶店へ。「すみませーん、チャイください」と言うと、古老Sさんは、チャイ?チャイ?チャイ?と何度も不思議がる。インドのお茶ですよと説明すると、わしは珈琲がいいと、何故ならこれは癌(ガン)に効くのだからなとさっそくご注文。出てきた珈琲に砂糖を2本半。

Sさん、癌の前に糖尿病になっちゃうよ。

お世話になっているUさんは、ボクたちが日野町に来たことで久しぶりの祭りを満喫されたとか。いつもは田植えで忙しいし、やはり住んでおられる小野と日野町の祭りは基本的に関係のないものだから、随分と離れておられたようだ。そんな話を聞きながら比良の祭りのときに、ヤマカワさんが同じようなことを言っておられたなぁと思い出す。

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あぁ。トンカツはいつから食べてなかっただろう。Uさん宅のお父さんは本当にうれしそう。どうやら久しぶりの揚げ物だそうで、大きなお腹をゆらしながら、大好きなタケノコもこれでもか!とばかり平らげます。今宵の夕食は近くのテント場で設営後、再びUさん宅のご好意に甘えたのです。祭りのときに欠かせない鯛そーめんをはじめ、お母さんの手料理は本当においしく、娘さまご希望の仮装大賞を楽しく見ながら、時は過ぎ行きます。

そして小野の闇が深くなったころ、永源寺方面のテント場までわざわざ車で送ってくださいました。はじめお母さんが送ってくださる予定でしたが、お父さんも一緒に来てくれて、車内は和気藹々。しかし走っているとだんだんフロントガラスが真っ白に。お父さん、前が曇ってくるけれどどうしたらいい?そんなお母さんの声をまったく聞かず、お父さんは「そらぁ、わしかって自転車にも乗ってた時代があるわー!」と後部座席でヨシコと違う話に花が咲く。それでもフロントガラスが真っ白になっていくから、お母さんは右手でガラスを拭きながら、左手でハンドルというアナログ走法。前と後ろでドタバタなのだ。

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おえぇぇぇ。うぅぅうう。テントに戻るとヨシコのお腹もドタバタ。どうやらおいしくて食べ過ぎたようだ。しかも蜜柑の手ぬぐいをどこかで落としたらしく、意気消沈。ブツブツ言いながらもうひとつの手ぬぐいを首からとって、無造作に寝袋の袋に入れる。どうやら枕にするのだろうと見ていると、今度はまた手ぬぐいがなくなったと騒いでいる。いやいや、ヨシコさん。さっき袋へ自分で入れてますやん。あぁ、こんなお腹ではすぐに寝られないわ。贅沢は敵よ、贅沢は敵よ、もう食べないわ、明日は絶食よとつぶやくヨシコ。満天の星の下。やっぱりすぐに寝た。

※小野のUさん御一家、Sさん、日野町の皆様、本当にお世話になりました!

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日野の農家でどろんこ田植えをするのだ。

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わたし田植え初心者ヨシコです。

どうでもいいけど、その格好似合いすぎ。今日は日野のUさん宅の田植えのお手伝いをするのだ。普段から食に非常に興味がある我が隊は、生産される方々の現場も知りたくてお願いしたところ、受け入れてくださいました。おっと、ボクの麦藁帽子が風で飛ばされそうになる。どうも頭が小さいから・・・とヨシコに言うと、髪の毛薄いからと違う?と言われてしまう。

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田植えは田植え機と人力の共同作業。ズボズボっと入る田んぼの土に足をとられ、へっぴり腰のヨシコがもがいている。機械が通ったあとの田んぼをならしながら、均等に植えていくのだ。5月とはいえ、この日はとても暑く額に汗がにじみます。1枚の水田を終え、お茶とお菓子で休憩。新緑の中での談笑は最高です!

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まだまだ違う田んぼでも働きますよー。

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機械で無理だった箇所は、僕たちの出番。素足で田に入るととても気持ちがいい。ぬるぬるとした感触に、土の香、そして目の前にヒル。血を吸われてもいいやとばかり、せっせと手で苗を植えていく。昔の人はこれを全部手で植えていたと思うと、腰が痛くなる。米は八十八と書くでしょ?それぐらいの工程があって大変なものなのよと、Uさんのお母さんが教えてくれるのです。

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今日、植えているのは「夢みらい」という品種。調べてみると「夢みらい」は、通常のお米に比べて、アミロース(でんぷん)含有量が少なく、程よい粘りと柔らかさに富む食感を味わえる美味しいお米だとか。品種の特性として「いもち病」にかかりにくいので、殺菌剤を低減した作り方ができる品種でもあります。

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朝から働いてお昼に終えたわけですが、その後のゴハンのおいしいこと、おいしいこと。お天道様の下でカラダを動かして働く喜びを感じながら、足や手についた泥を、豊かな水量をもつ農業用水で洗い流す。乾いたアスファルトに水の足跡をつけながら、家路につくのです。

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日野祭り宵山

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仕事帰りに日野町へ。お腹も減ったので惣菜屋さんに入る。店のおばさんが笑顔で話しかける。何しに来た?田植え?それはご苦労様。どこに泊まるの?小野!?また田舎へまぁ。誰の家?誰の家?そんなん山しかあらへんで。誰か迎えに来てくれるの?あっそう。それは良かったねぇ。そう言いながらお買い物。

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そのまま前の御菓子屋さんへ。これまた笑顔で話しかけてくれるおばさま。何しに来た?田植え?それはご苦労様。どこに泊まるの?小野!?また田舎へまぁ。誰の家?誰の家?そんなん山しかあらへんで。誰か迎えに来てくれるの?あっそう。まったく一緒の内容にヨシコと大笑い。

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今日は日野祭りの宵山に来たんです。針江で知り合った方のお誘いで約束していましたから。そうですかー。今日はわたしの子らも帰ってくるという・・・予測!親はアホなもんで、子どもから今、貴生川に着いたっていう連絡がくれば、すぐに迎えに行ってしまう。そんな御菓子屋さんの屋根の上にはツバメの巣。車と人が通るからカラスも寄らず、毎年、巣をつくり産み、巣だっていくという。

お待たせー。

1ヶ月ぶりにお会いしたUさんのお父さんは髪をピシっと決めて、颯爽と車からおりて来た。でもよく見ると、後ろ髪がピョコリっと寝癖、そして実はサンダルという、いかにも父ちゃんらしい出で立ちなのだ。今日から日野町のグリーンツーリズムとしてもお世話になるのです。

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夜。ご好意で金英町曳山、芳菊車をひく。この祭りに参加できるとは思っていなかったので、とても嬉しく、今でも山を引いた綱の感触がしっかりと手に残っているのだ。実はUさんのお父さん、お母さんは人気者?町を歩いているだけで、次から次へと声をかけられ、お酒も飲んで。そんな中、Uご夫妻は町の人たちに僕たちのこともしっかりと紹介してくださいます。それほど人と人が密接に関わっている生活なのだ。さらには一升瓶割ってケンカでもすればいいのにと、お父さんは祭りへの期待を膨らませ、町長さんも顔を真っ赤にしてニコニコ。そんな町長さんもまたアンタら来たんかと挨拶くれて、そのまま去っていく。今日は宵山。酔い止まぬ祭りの心は、誰にもひとしく宿るのです。

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