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2008年8月

見守る

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新宿を歩いていると、どこにも山はない。大阪であれば東に生駒山、滋賀であれば西に比良山系、京都であれば山なき南に、神戸は北に六甲山。遠くに見える山々によって見守られ、方向を知るクセがついているだけに、迷子になりそうになる。

都庁近くのエプサイトで開催されている今森光彦写真展「神さまの森、伊勢 日本の聖域・神宮の杜」へ。三ツ尾伐りという伝統的な伐採方法、大木を運ぶ川の流れ、お種栽り。遷宮に必要な樹齢200年のヒノキ1万本をまかなう伊勢の森は、人と自然の共存によって形成されている。そう、伊勢の森は人が心をこめて見守ってきた森でもあるのだ。

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見守る。

今回のお江戸旅の目的は、ヨシコの友人の出産祝いに訪れるということ。友人に会う前にヨシコはバンビが描かれた使い古したクシで髪をとく。少しでもキレイに見せようとしているのかと思えば、それはこれから会う友人と19歳のころからおそろいで使っている大切なクシとのこと。クシの歯が1本欠けているが、その友情に欠けたるところはない。生まれてきた新たな命を見守る目は、ともに嬉しそうで、見守られる赤ちゃんはケラケラ笑う。見守っているようで、実は赤ちゃんに見守られているのではないか。ボクたちを幸せにしてくれる温かな笑顔がそこにはあった。

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見守られる。

お江戸から大阪へ帰る前に、ヨシコの兄さんとチョコレートを食べる。兄さんに連れられたそのお店は、なんとチョコレートしかないのだ。久しぶりの兄妹の会話、甘い時間は過ぎ去るのが早いもので、気づけば新幹線の中。今にも降りだしそうな雨雲を突ききって、西へ。そして本来ならば何十万もする「甘い部屋」よりも、まったりできる我が家に帰り着いたのは、今まさに日付が変わろうとしているころだった。

見守る、見守られる。

それはきっと、互いに必要としていることなんだろうなぁ。

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お江戸でござる

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まだ30分もあるなぁ。ちょっと見てみようかなぁ。

朝6時。新大阪でヨシコが買い求めた弁当は、その名も21世紀出陣弁当。新幹線に乗り込む前の数十分が待てないようで、弁当を紐解いていく。朝5時前に起きて、ここまで来ているのに、やたらと元気なヨシコは「いざ江戸へー!!」と騒いでいる。出陣弁当というだけで心は武士になったようで、こんにゃくを掴んでは、「狼煙をあげろー!」と意味不明な言葉を叫んで、パクリ。あれ?さっき見るだけって言ってなかったっけ?ん?そんな日本語知らん。さすが武士、潔し。

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はぁ、朝から弁当をつくってくれる人がいるんだなぁ、ありがとう、ヨシコのために、と言いながら、食べつくす。確か寝起きにイチジクを3個とクリームパンを食べていたような気もするが、ホームにすべりこんで来た新幹線に乗車し、いざ江戸へ。車内で稲荷ずしを開けるボクの横で、おいなりさ~ん!おとなりさ~ん!という歌を歌うヨシコの胃袋に、ボクの稲荷ずしも数個消える。正月のおみくじに「調子に乗るなかれ」と書かれていたのに、武士となったヨシコは無敵状態。あっ!富士山!と指差すも、めちゃくちゃ低い山。どんだけ思い込みが激しいのか分からないが、その期待に応えてか、数時間後、本物の富士山がその雄姿を山裾まで見せていた。

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お江戸に来てまで近江三昧。大丸で開催されている今森光彦写真展へ。近江の国の里山は、江戸でも煌びやかに輝いていた。おそらく蓬莱山から少し小女郎峠にくだった場所から撮影された写真には、見慣れた樹下神社に、比良の駅。ぴょんぴょんしながら見たい写真たちだけれど、みんな静かに見てるねとヨシコはクククと笑う。

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おまるーっ!

皇居の堀にいる白鳥に、とんでもないアダナをつけて親しげに呼びかけるヨシコ。するとその白鳥はヨシコのもとにスルスルと泳いでくるではないか。皇居のまわりには、数多くのランナーたち。それを見てヨシコは、皇居って天皇さまの家だよね?人の庭走って大丈夫?と聞く。開放されているから大丈夫だと思うよ。それより桜田門とか見にいく?いや、あれが見えないわけ?わたし警視庁特命係ヨシコです!そういいながら、ドラマ「相棒」大好き女侍は、皇居を素通りして警視庁に走って行った。

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うっとり。あれが杉下右京さんのサインね。

ドラマ「相棒season5」のロケ地であった日比谷公園の日比谷茶廊。杉下右京と小野田公顕が食事をしていたテラスでランチ。ヨチュオさん、わたし、小野田公顕役の岸部一徳さんと誕生日が同じなわけ。どうやらヨシコは相棒ロケ地ツアーにご満悦。スパイシーなガパオを頬張りながら、視線はそのサインへと注がれる。外は突然の雨。お江戸の雨は何だかおかしい。土砂降りになったかと思えば、青空。また土砂降り。どうなってるの?

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足の模様と、カラダの模様がぴったりのネコ発見。

はぁ、ヨチュオさん。ネコってやる気ないよねぇ。イヌかネコになるかと聞かれれば、ネコって答えるわ。だって、なで肩やろ。肩こり知らずやろうなぁ。

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浅草寺では、観音様にお願いごと。舟和の芋ようかん、手焼きせんべいを食べなら、観光気分。

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この日は浅草サンバカーニバル。ドンドンッ!と響き渡る太鼓の音が気持ちいい。沿道には数万人の人だかりで、町全体がお祭り気分。そしてサンバといえばブラジル。今年はブラジル移民100周年だったはず。ブラジルとの関係についても、ちょっと調べてみよう。

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上野の国立科学博物館にある全球型映像施設「シアター36○」を体感。360度、恐竜の世界につれられて、大はしゃぎ。やっぱり博物館は楽しいなぁ。

あら?ヨチュオさん。この恐竜の尻尾に「相棒」がついていたんだって!

ん?ヨシコよ、「棍棒」って書いてあるよ。

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すみません。御予約いただいていたタイプの部屋が満室になりまして・・・。

はぁ。ボクたちはどこでも結構ですけど?

少し大きなお部屋になりますけれど、よろしいでしょうか?

はい、よろしくお願いいたします。

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でかすぎるー!!

何でもエグゼクティブフロアのプリンススイートらしく、追加料金なしで泊めていただけました。かしこまったボーイさんが金のワゴンでお荷物はございますか?と聞かれても、荷物はございませんと言い、部屋の説明を受け何か質問ございませんか?と聞かれては、「あのー、広すぎる部屋では、どう過ごしたらいのでしょうか?」という質問をする。普段、テント旅がほとんどで、三角屋根になれている我が隊は、とんでもない世界に引き込まれたのである。

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うますぎるー!

築地市場から運ばれた刺身。適当に入った駅前の飲み屋だったが大当たり。やっぱりこういう場所が落ち着くよねぇ、何ていいながら、大いに食す。キンメダイの刺身が最高でした。

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ついてるね~♪のってるね~♪服はシワシワだけ~どー♪スイート泊まれる~♪お風呂は家の2倍~♪

ご機嫌ヨシコは、映画「相棒」の舞台にもなったレインボーブリッジとお台場を見下ろしながら、そのまま夢の世界へ。たまにはこういう旅もいいものだなぁと思いながら、近くのコンビニで買った缶ビールをプシュッと開けた。

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風まかせ

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冷たーい!

堂満岳のふもと、正面谷には比良川の源流がある。昨日の雨にも関わらず透き通った水は、この山の保水力の証だろうか、登山靴を脱いだ足を気持ちよく冷やしていく。川底はさらさらとした砂ではあるが、上流の護岸壁のためか残念ながら魚影はない。ふり向けば琵琶湖、仰げば比良の山々に包まれて、子ども心にはしゃいでしまう。

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今日はセレブだねー。

ギャラリーskogで迎えた朝は、空気がいいからかとても気持ちがよくて目覚めバッチリ!ただ夜中に蚊が飛んでいて、寝ぼけたヨシコが一撃必殺!蚊を叩いた勢いそのまま、バレー部で鍛え上げられたアタックをもってボクの胸を強打し、ボクは飛び起き、ヨシコはそのまま寝るという荒業があったが、まぁ良しとしよう。

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さて諸事情でふたりっきりなのだが、まるで我が家のようにフライパンを取り出し、目玉焼きや、ハム、トーストと火を通していく。こんなことをさせていただけるなんて本当にありがたい。昨日とは違って快晴の空の下、トーストで迎える朝=セレブと思っているヨシコは、今日はセレブだねーっと連発する。

そもそもヨシコよ、セレブとは何かね?

セ、セカチノフ。
レ、冷酒を飲んで。
ブ、ぶ~らぶら。

なるほど、それぞセレブだ。

それならば冷酒はないが、「ぶ~らぶら」するべくイン谷口方面へ。沢ガニが歩く道を、先人の道案内をしめす目印を見ながら、正面谷へと散歩したのだった。

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冬のダンダ坊は、雪の上に鹿や獣の足跡がいっぱい残っていて、誰もいないのだけれど、息づかいが聞こえてきそうな場所だった。あれから数ヶ月。夏のタンダ坊は、大きな木々の間からこぼれる光の下、背の低い植物たちが群生する緑の世界へと変わっていた。ここにかの織田信長は何を見たのか。比良の歴史を知るべく、次回10月4日の歴史ハイキングが今から楽しみなのである。

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さてギャラリーskogのエツコさんから預かったものを渡すべく、駅前のほっとすていしょん比良を目指す。比良の水田は黄金色に輝き、リュックを背負った登山者たちが、その黄金の野原をくだっていく。この道は本当に気持ちがいい。

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うまーいっ!

ほっとすていしょん比良のカボチャのプリンは最高です。比良の湧き水でいただく珈琲を飲みながら、のんびり過ごす。ヨシコはゆずのジュースをいただいているようだ。もうすぐ新米の季節。次回、訪れる頃にはふわっふわの新米とともにいただく最強のコロッケ定食があるはずである。

ヨシコよ。今日の比良はどうかね。

ヨチュオさん。比良をかんじるには、身も心も風にまかせるのが一番よ!

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アンタ、まかせすぎ。

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お留守番

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これは何ですか?

ほっとすていしょん比良に着くと、湧き水で何かのツルを洗われているので伺うと、イモのツルとのこと。収穫したイモは、おいしい「さつま芋ちっぷ」に変身し、このツルは、佃煮にしておにぎりの具材として使われるのです。手間隙かけて、無駄なくいただきます。

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あいにくの天気の中、比良の田園地帯を歩いているとこれ見よがしに「農薬なし」の立て札が。一見、どれも同じような水田でも、これからの食を考え様々な試行錯誤がなされているのだ。先ほど読んでいたチラシには、比良で産声をあげた、ある起業家のお話があって、「日本の食糧供給能力は3000万人分!?」あなたは信じられますか?という日本の食と農を考えたくなるセミナーも。

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ヨシコは古いカメラ、オリンパスペンFTを取り出し、久しぶりにフィルムを装着。こちらも比良を映し出すことに試行錯誤のご様子。その横では、食べきれないほどのスイカが放置されていた。

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地蔵盆ということもあり、田んぼのあぜ道におられるお地蔵さんに、新しい前垂れが着せられたり、お供えものがあったり、明かりがともる。毎月訪れる比良だが、ひとつ道を変えるだけで、同じ地域でも様々な顔が見えてくる。今日は、ある方の散歩コースとかぶったようで、ヨシコの足に飛びつく子犬が、かわいくてしかたがない。

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隠し撮りするわよー!

そう意気込んで階段を走るヨシコ。ギャラリーskogにて、以前、買い求めた鉄とガラスの花瓶を包装していただく。その包装にオーナーであるエツコさん、カズオさんの共同作業がおもしろくて、写真家の血が騒いだようである。その鉄とガラスの花瓶は、次の日の夕刻には我が家の窓辺に鎮座し、そのガラスの中には持ち帰った比良の湧き水、そしてほっとすていしょん比良でいただいた「かぼちゃのプリン」を彩ったスズメノマクラが生けられることとなる。

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比良の夜にギターの音色が響きわたる。今日はskogで開催されたギタリスト松田晃明さんのコンサートに多くの人が集まった。車の整理をしていると、スープファニチャーのご家族が到着される。今日は来ていると思いました。泊まりですか?いえ、なりゆきに任せようと思います。じゃぁ、泊まりですね。そんな言葉をかけられ、ご案内。そういえばskogに到着したときにも、エツコさんが真っ先に「アナタたち!寝袋持ってきた?」と言われたことを思い出す。もちろん持って来ておりません。

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そして夜も更け、コンサートの熱が覚めやらぬskogに、ヨシコとふたりっきりになることに気づく。それは何故か?諸事情でオーナー夫妻がふたりして、本宅に帰ってしまうからだ。夫妻の消え行く車のテールランプを見送りながら、まだ出会って1年もたっていない僕たちに、好きになさいとばかり家をそのまま預けていくなんて、本当に豪快だなぁと、ヨシコと目を合わせる。そして湖西道路にむけて走り出す車。

あっ、急停車!

ヨシコよ、どう思う。

たぶん忘れ物か何かして、中で大騒ぎになっていると思う。

ボクもそう思う。

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副作用

会社から自宅の最寄り駅に降り立つと、随分遅くなってしまった。最近、走り癖がついているので、ここは離れた自転車置き場までランニングしてやれとばかりに、駅のスロープから一直線に駆け下り、暗い歩道を軽快に走っていると、何?この人?わたしを追って痴漢しに来たわけ?とばかりに目の前の女性にめちゃくちゃ警戒される。

すみません。痴漢じゃありません。

そんな女性を申し訳ない気持ちいっぱいで追い越して、車道に出ると、目の前にバスが停車している。バスはバス停から走り出そうとしたのだが、再び急停車。どうやらボクが駆け込み乗車をすると思ったらしく、暗闇に向け入り口から光を明け放つ。

すみません。乗りません。

親切な心を見せてくれたバスを、申し訳ない気持ちいっぱいで追い越して、グングンとスピードを上げていく。トライアスロンよろしく自転車にまたがりこぎまくる。息を切らして帰り着くと、ヨシコが言う。

あら!わたしに早く会いたくて走って来たのね。

・・・。

ハイ。そうです。

喜び勇んで台所で晩御飯を用意してくれるヨシコの背中を見ながら、缶ビールのキャップに手をかける。ボクはただ気持ちよく走りたかっただけなのになぁと、その副作用の多さに驚きながら、麦の水にて水分補給をするのだ。

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山崎の戦い

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ちょっと走ってきます。

山崎の駅を降りるまで何にも考えていなかったのだが、目の前にまっすぐにのびる山への道、足元に先日買い求めたトレイルラン用のシューズ。それを見るなり、ムズムズと悪い虫が騒ぎだしたのだ。

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ヨシコを大山崎山荘において、山道を走り出す。山頂までは登山地図で見ると40分なので、走ればもっと早いだろう。夏の暑い日ざしは木々によってさえぎられ、心地よいのだが、普段からトレーニングしているわけでもなく、またお盆でさんざんアルコールを摂取したカラダから、すぐに大量の汗が出る。いきなりの急登に、お尻がプルプルと震え、また酒解神社まで続く階段の幅が、短足なボクの歩幅に全然あわず、ちょこまかと駆け抜ける。2kmもないであろう片道だが、とにかく辛い。

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息を切らして鳥居を抜け、展望台に出る。そこから眺める景色は、山々の間の狭い土地に、京阪をつなぐ様々な交通網がひしめき合っていた。そこから竹林に入ると、いくらか平坦な道となって楽になる。それにしてもこの天王山はトレイルランにはむかない山だ。なぜなら気になる史跡がいっぱいあって、十七烈士の墓や、国の重要文化財である神輿庫、三社宮に祭られた天照大神、月讀大神、蛭子神など横目で走れるだろうか。どうしても立ち止まってしまうのだ。

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標高270mの山頂にたどり着くと、誰もいない。スポーツドリンクを飲みながら、吹き出る汗をぬぐう。髪形は山崎の戦いのごとく、落ち武者状態である。ヨシコにメールで連絡すると、大山崎山荘でのんびりお茶を飲んでますとのこと。さぞかし千利休と秀吉さながら優雅なことであろうと、サルのごとく急ぎ下山する。

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さてさて山を駆け下りるほど怖いことはない。砂利道の上に落ち葉があるような斜面など、滑ってくださいねと言っているようなものだ。登りですれ違った何人かの登山者を、くだりながら追い抜いていくのだが、おっ!兄ちゃん、元気だねー!と応援してもらうも、本当は足を止めたくて仕方がない。恐るべし、トレイルランという競技。(※登山をするような規模・深さの山を、ランニングで走り抜ける競技。)体力と見栄の勝負なり。

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顔を紅潮させヨシコと合流。ヨシコよ、優雅に何をしていたのかね。冷たい紅茶を飲んで、お腹が痛くなった。あっそう。それほど優雅でもなかったんだね。それにしても走ったあとのビールがこれまた最高である。走ることは生活習慣病の予防にもなるし、楽しいのだが、ビールを飲みながら、これは生活習慣病の促進剤でもあるなぁと、よく分からない感慨にふけるのだ。

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一周年

ここに決めたわ。

そのひと言で引っ越して早や一年。土砂降りの雨の中、しかも夜8時に決めた我が家は、真っ暗で何も見えなかったのに、入るなり不思議と安らぐ雰囲気があって、きっとここになるんだろうなぁという漠然とした気持ちでいると、ヨシコの鶴の一声がかかったのである。そんなヨシコの自信満々さに、契約のハンコを押したのだ。

数日後。晴れた日に訪れてみた。へぇ、こんな家なんだぁ。決めた日は真っ暗で分からなかったねぇ。何ていいながら、寸法を測り、必要な冷蔵庫やガスコンロなどのサイズを記録していく。近くの池からはハスの香が漂って、夏の最も暑い日に、荷物を運び入れたのだ。

あれから一年。ヨシコの直感で住み始めたこの小さくとも楽しい我が家を祝おうと、大阪は梅田まで。お茶をした後、ここは割り勘ねっ!とヨシコが財布を広げ自信満々に、ハイっ!500円玉といいながら、どっからどう見ても10円玉をくれる。どうやら間違ったようだが、こんな自信満々なヨシコが家を決めたと思うと、可笑しくなってくる。

本当に、ボクがいないととんでもないことになるだろうなぁと思いながら、お祝いランチの勘定を済まそうとレジにむかい、5000円で足ると知り5000円札を取り出して、会計を待っていると、ヨチュオさん、それ1000円札と言う。

あっ。そうなの?

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乙女の心

ヨチュオさん。わたしこの少女マンガを買うわ。

何でかね?

最近、乙女の心を失いつつあるからよ。

そう言うとヨシコは、本を持ってレジに並んだ。ほんの数百円の買い物かもしれないが、ヨシコにとっては大切な「乙女の心」とやらが詰まっているのだ。

翌日、乙女の心を取り戻したヨシコは、朝日をあびながら「北斗の拳」を読んでいる。

ヨシコよ、乙女の心の次は何かね?

分からないの?自らを犠牲にしても守りぬく、そんな愛を取り戻すのよっ!

・・・・。

乙女の心は難しい。

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夏の夜の夢

Hanabi

早々に退社し、家に戻ると、ヨシコがビールを買って待ってくれていた。闇が静々と忍び寄るころ、家々の間を轟音が反響する。花火だ。

小さな路地裏から見上げる花火は美しい。心地よい夜風とともにのんびりと眺める。地域の子どもたちも「きれーい!」と叫んでは、小さな瞳をキラキラとさせる。ガードレールをくぐって、ひとりの男の子が手作りの団扇片手にやってきて、花火を見ているかと思えば、全く違う方向を見てハッ!と気づく。

お母さーん!

あそこにお化けがいて、目をつむってるー!

お願いだから、花火だけ見て。

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言葉遊び

これはサバニやねん。

そう言うヨシコと、ボクの目の前の食卓に、手羽先がおいしそうに焼けている。

鯖煮?

どうみても手羽先である。

ひょっとして沖縄の船、サバニ?

いや、どうみても手羽先である。

ヨシコよ、この手羽先のどこがサバニなのかね。

382(さばに)円だったのよ。

隣にね、397円の鶏肉があったのだけれど、「咲くな」って失礼な話でしょ?400円のは何のひねりもないしおもしろくない!その横には114円の鶏肉があったのだけれど、「いいよ♪」って書いてあるわりには90gしか入ってなくて、これではお腹がすいてぜんぜんよくないよね?

ヨシコの買い物の決め手はどうやらそのような「言葉遊び」が重要らしい。日々の小さな発見の中にクスクスとした笑いが含まれることだろう。

お腹いっぱいヨシコはベッドに飛び乗り就寝準備。ボクも電気を消して明日に備えて眠ろうとする。

ヨチュオさん、このベッドはとても広いねぇ。「ダブル」だねぇ。

いや、どうみてもセミダブルである。

あら?そう?いつも広いと思ってしまうのだけれど?

そりゃ、アンタが毎晩、気がつけば真ん中で寝ているからでしょ?

ククク。つまりヨチュオさんは「セミ」で寝ているわけね?

なるほど、「セミダブル」である。ヨシコの「言葉遊び」に妙に納得し、日本男児たるもの、どんな細き場所でも眠れるのだと自負しながら夢の世界へ。

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起きれば夏真っ盛りのセミの声。ヨシコはすっかり朝の準備を終えていた。

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地産地消と干し野菜

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朝起きて窓を見るとセミがいる。ベッド横の網戸に声もたてずにジッとしているのだ。あれ?視線を下に落とすと、畳の上で寝息もたてずにジッとしているヨシコがいる。夏の暑さに負けじと、冷ややかな場所を無意識に探し出しては、また眠っているようだ。

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夏の日差しは、干し野菜をつくるに最適。みずみずしい野菜も、カラカラに干されていく。水分が抜けることで保存がきくし、栄養もぎゅぎゅっと濃縮され、つまみ食いをしてみると野菜の甘みが口いっぱいに広がる。ボクは石橋を叩いて渡るタイプだが、ヨシコは石橋を叩いて割るタイプ。家の野菜を片っ端から豪快に切り刻んでは、屋根の上に、ベランダに、とにかく手当たり次第にひろげていく。

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ボクのお気に入りは冬の白菜と、夏のゴーヤ。干しゴーヤは苦くて、えぐいのだが、これがまたビールに合うのである。階下の酒屋さんで瓶ビールを買い求め、一杯やりながら玄関先で育てているトマトや、ゴーヤを見ていると、下から酒屋さんが「ちょっと兄ちゃん、降りてきーっ!」と言うので、なんじゃらほい?と駆け下りると、自家製の沢庵をくれた。どうせ、昼間から飲んでいるのだろう?ツマミに持っていきなさいと手渡ししてくれる。数ヶ月前、フェンスの穴という穴に挿され、日干しされていた大根は、こうして我が家にやってきた。生姜と一緒に食べると、太陽の味がして、麦の恵みとともに胃袋へ。

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高槻でつくられた寒天を、ヨシコが自家製梅酒をつかってゼリーにする。そもそもこの寒天は今から約200年前、稲刈りで米を収穫した後の冬の副業に持って来いの産物となり、朝晩の冷えこみの厳しい北摂で急速に広まったもの。高槻といえば寒天という時代があったのである。それを知っていたヨシコが、偶然見つけてきたのだ。

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地産地消の促進のためにも、今住んでいる地域で何が栽培されているのかを知り、食べるということは本当におもしろい。最近のお気に入りは茨木・見山のプチトマト。これに勝るものなし!伝統的な千提寺、太田の「三島うど」も食べてみたい。家の前が、地元直売の八百屋さんであることが、本当にうれしい。そんな店頭に並ぶ採れたての野菜たち。今日みたく天気のよい日には、ヨシコに干されてしまうとも露知らず、みずみずしい顔をして笑っている。

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