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わたしは勝利する

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暑くないですか?

稲刈りをされている古老Mさんの田んぼにお邪魔する。木陰のないところで親子二人で農作業とは大変である。昔はもう少し稲刈りも遅くて、気候的にも涼しく楽であったそうだが、近頃は品種が変わって何もかも早くなってしまったそうです。刈ったもち米は、去年の藁である程度の束に縛り上げ、乾いた水田に置かれていく。突然の訪問にも関わらず、迎えてくださったことに感謝しながら、今日は稲刈りの見学をさせていただいたのだ。

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おのれのサイズを知らんのか?

駅前のほっとすていしょん比良。皆が見つめる先には大きな沢蟹が歩いている。人間に見つかった彼は、ハサミを振り上げながら、その身を細い隙間に隠そうとするのだけど、まったくサイズが合わないのである。誰やろう、ハシゴ競争考えた人。もしカラダが挟まってしまったらどうしようって考えないのだろうか?とほっとママさんは笑いながら、いつまでも沸かされる珈琲を見て、世にも不思議なことが起こったという。2人分のはずが5人分抽出されて、それはそれはアメリカンな珈琲のできあがり。

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比良は水がうまいから、米も最高。新米を30kgくださいというお客さまが来られていて、ボクたちにむけて三笠フーズに頼んだらアカンぞ!と、何でも地産地消が安心であることを強調する。自分たちでつくって、自分で食す。それがもっとも安心できる食材であろう。ほっとママさんは、精米することを、お米を踏むという。きっと昔、家庭の土間にあったであろう唐臼(踏み臼)で精米していたからだろうなぁ。

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ほっとすていしょん比良には、実はキャラメルカスタードパンがあって、あまりのおいしさ故に、店頭に行くまでもなく、作り手さんの胃袋に納品されてしまうことがあるとか。そんなお話しを聞いていると、本日非番の方がガラガラっ!と入ってこられて、「ちょっと今日はキャラメルパンないのー?」と厨房にむけて聞いている。そう、これもまた門外不出、地産地消なのであろう。食べてみるとそのキャラメルの味はやさしくて、疲れたカラダにすっと入る甘さなのだ。

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琵琶湖に注ぐ川の水は冷たい。その小川にドジョウがいると聞いていたので、さっそく小川で遊んでいると、いつの間にやら大量の蟻がボクの足に絡み付いているではないか。しかもアゴが強いのか、噛まれたらとても痛い。ヒーッ!と思いながら急いで靴と、靴下を脱ぎ捨てて琵琶湖に避難。足元を見ると、西表島で熱帯魚に海草に間違えられて突かれ続けた豊かなスネ毛が、湖の波で揺れている。

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古老Mさんのご子息は、今まで勤められた会社を退社され、農業に可能性を見出している起業家。目の前でバインダーによって稲がどんどん刈られていく。すぐにお手伝いできることがないので、刈られたあとの土壌を歩くと、稲穂の色をした黄金のバッタ、稲の色をした緑のバッタ、土色のカエルやコオロギが逃げ惑う。彼らは隠れようとまた稲にむかうのだが、その安住の地もドドドドッ!と押し寄せる機械によって刈られていき、また逃げ惑うのだ。乾いた稲はサラサラと鳴って、土はほどよく柔らかい。刈られた稲の横にはすでに芽生えがあって、どんどんと生命が育まれている。稲に巣をつくっていた蜘蛛たちは、その間を隠れるようにそそくさと退場をはじめていた。

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ほれ、ヘビの皮。

古老Mさんが、ヨシコに目から尻尾まである美しいヘビの皮をくれる。女の子ならキャー!!と驚くことを期待されたかも知れないが、これはすごいとヨシコは大喜び。ボクが財布に入れておくとお金が貯まると親から聞いたことがあると告げると、ヘビの皮そっくりの首巻を震わせて、さらに大喜び。以前、我が家の家計簿をチラリと見たときに、合計金額欄のところに数字はなく、ただ漢字で「破産」と男らしく締めくくったヨシコは、これで安心とばかりに今でも大切に保管している。

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お父さん、刈り終わりました。ありがとう。

作業をはじめてから数時間後、田んぼの真ん中にバインダーを置いて一休み。次はもち米を天日に干せるように稲木を組むのである。近くの物置小屋から長い竹を運び出す古老Mさんは、足腰もしっかりと悠々と歩かれる。そして均等に太陽があたるよう南北をきっちり計るようご子息に依頼する。息子さんは時計のコンパスを使ってきっちりと導き出して報告するも、古老Mさんはそれを聞いてか聞かずか、自分の感覚と経験で決めた南北を変更することなく「だいたいで良い」と作業を続けられ、一同大笑い。

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そして古老Mさんは、魔法のような縄の結び方で比良の風にも負けない強固な稲木を組まれていく。何度見ても、その結び方の最後が早くて分からない。もちろんゆっくり実演したり、言葉で教えてくれるわけではないので、見てカラダで覚えなければならぬ。縄の結び方ひとつにしても、その土地の風土にあった知恵というものは、売っているような本から学べることではない。その土地の知恵を持つ人たちから学ぶことはいくらでもあるのだ。

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そんな農作業をしながらも、その田のまわりを通りかかった人たちと、天気のこと、人生のこと、農作物のこと、これからのことなど井戸端会議が絶えない。大きな空の下で繰り広げられる意見交換は、見ず知らずのボクにも筒抜けで大らかだ。比良あられを作っておられる方に、稲木に米を干す時は向きを揃えて!と激励を受けながら、せっせと汗を流す。無知ゆえに半そでだったため、チクチクと腕が痒くなるも、稲の香が気持ちいい。

東の空から月が出ようとしている。いつも満月の日には月に雲がかかるけれど、今日は一日前だから大丈夫だろうと、古老Mさんは今宵の「月と星と音楽の夕べ」を意識して教えてくれる。その方角には日野町があって、ボクたちがお手伝いさせていただいた稲たちが、きっと風にゆれているんだろうなぁと、Uさん御一家を思い浮かべた。

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今宵のお月見コンサートを無料で拝聴しようとするカエルを発見。

まだお月さんは恥ずかしくて隠れているなぁと、扇子片手に会場の駐車場を整理されているほっとパパさんの真後ろ、頭の上にお月さまがしっかりと見えている。会場には、美しい歌声を聴こうと多くの方がつめかける。蚊取り線香の煙が時折、ふわっと塊となって流れる会場に夜の帳が下りるころ、ソプラノの声が響きはじめた。

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こんな贅沢はいいのでしょうか。

心震わす歌声に、感動。マイクもなく歌われるその声は、琵琶湖の向こうまで聞こえているのではないかと思う。やっぱり本物は違うなぁと、ただただ身をゆだねるこの世は、素晴らしき世界。そしてアンコールにオペラ「トゥーランドット」が響き渡り、高らかに「わたしは勝利する」と2度宣言される。その言葉は、何か新しいことをはじめようと動き出したこの地の人々にふさわしい、贈り物のようだった。

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かんじる比良」カテゴリの記事

コメント

このあたりでもヘビの皮は縁起物、財布に入れろと言われています(笑)
何ともいい一日でしたね~~
土曜日仕事で無かったらすっ飛んで行けたのにと思う素晴らしい
イベントでしたね!これを見せていただき残念さが、さらに深まり
ましたゎ~~~

投稿: くま先生 | 2008年9月15日 (月) 22時29分

くま先生。

キャラメルカスタードパン、オススメでございますが、この記事にありますように、地産地消のようです。(笑)

まだまだかんじる比良はイベント盛りだくさんですから、ぜひぜひ出没くださーい!そしておいしそうなレポートをまたお願いいたしまーす。

お待ちしております!
(あっ、わしら比良在住じゃなかった。ボクたちも出没しまーす!)

投稿: セカチノフ | 2008年9月15日 (月) 23時09分

本当に森?沢山な一日でしたね!!
昼間は農作業、夜はお月見コンサートそして後片付けまで…
お疲れ様でした(^_^)
私はリハーサルから聴かせて頂きましたが、本当に美しい張りのある歌声が琵琶湖まで届いていたそうです。
(同行されてたご主人が本当に楽しそうに確認お散歩から帰ってこられました)
皆さんの心がつながって、素晴らしいコンサートにしていただいたなあ♪♪と感謝しています。  やっぱり人って素晴らしい!!

投稿: ほっとママ | 2008年9月15日 (月) 23時30分

ほっとママさま。

本当に森?沢山な1日でした!
比良の方々には何から何までお世話になって
感謝の言葉しかございません。

やっぱり人って素晴らしい!!

皆様のおかげでボクたちもそう感じてますっ!

投稿: セカチノフ | 2008年9月16日 (火) 22時03分

先日はありがとうございました!
比良の人間こそ、訪ねてくださる皆さんに感謝感謝です。

土地の魅力を見出すのも伝えるのも、やっぱり人。
ほんとに人って素晴らしい!

今度はゆっくり飲みましょうね!

投稿: akibon | 2008年9月17日 (水) 02時55分

みんなで呑みますよー!!!

投稿: セカチノフ | 2008年9月17日 (水) 21時51分

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