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孤高の人

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イーハトーヴの国、カイラス山、イギリス海岸。それぞれ岩手県、早地峰、北上川合流地点を、宮沢賢治は架空の地名で名づけている。身近な人の話では、滋賀県の北小松北部を「リトル上高地」と呼ぶ人がいるそうだが、そこには地名にその人の理想を当てはめる面白さがある。

銀河鉄道の夜、セロ弾きのゴーシュの原稿には何度も推敲を重ねた形跡があり、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ、慾ハナク、決シテ瞋ラズ、イツモシヅカニワラツテイル。かの有名な手帖を前にしながら小さな女の子が読んで、母はそれを嬉しそうに見ている。ここは大丸ミュージアムKOBEで開催されている宮沢賢治展。朝から人であふれていた。

宮沢賢治の遺書らしき手紙には、両親に対し謝罪の文面が見える。この生で返せなかったご恩は、次の生、またはその次の生で返しますという言葉が印象的。そして賢治からインスピレーションを受けた多く作家による絵画がその展示をしめくくり、宮沢賢治の世界を身近なものにしてくれる素敵な展示会だった。

その階下で偶然にも伝統工芸士、栗盛俊二さんにバッタリ!いつもヨシコが使っている「曲げわっぱ」の製作者であり、秋田なまりで、「オレの特徴あるわっぱをいっぱい触っていけ」と色々と魅せてくれ、「おひつ」が欲しいなぁとまで思ってしまう。

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タコのためなら走れるぜぇー!

信号が変わろうとしている車道をヨシコが叫びながら走る。ここが蛸の壺ですよー、それは思う壺だなぁという会話を耳にしながら、さっそく暖簾をくぐる。三線(さんしん)の音が響き、昼間からカウンターでタコをつまみに一杯やる。これが最高なのだ。

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くるくると素早く焼かれていく卵焼き、ネギブタはお酢と醤油、そして少しの豆板醤がピリリときいていて旨し。タコのすみそは、生タコの弾力もよく、うまいうまいと箸がすすむ。ヨシコについでもらうビールはよく冷えており、よくもまぁ、こんな酔っ払いの相手が出来るもんだねぇと言うと、泥酔で20分で帰れるところを自転車ごと垣根に突っ込み2時間かかって帰宅した数年前の話を持ち出され、へぇへぇ、すみませんと、めざしを噛みながらまた謝った。同じ過ちは繰り返さぬとばかり、そうそうにお勘定。

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一杯やって空を見上げると青空。これまた気持ちいいものである。神戸から大阪方面に向かう電車の中から、六甲の山々が見える。先ほど寄った本屋で見つけた「孤高の人」という本。いつぞやの山の雑誌で一番読まれている山岳本として紹介されていたことを思い出し、パラパラとめくって、おや、六甲の話もあるねぇとお勘定。

ヨシコよ、この主人公、加藤文太郎が「孤高の人」ならば、ボクは何の人かね?

知らん。

そんなアホみたいな質問に、ぶっきらぼうに答えられる間も、六甲の麓を速足の加藤文太郎のごとく電車は駆け抜けていく。ヨシコが眠りそうなので仕方なく読みすすめると、酔いの力も手伝ってかいつの間にかボクも眠ってしまい、そのまま二人して車上の人となった。

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