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比叡山延暦寺

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ちょっとヨシコさん、普通に歩けませんか?

ここは滋賀県は坂本。先週、比良歴史ハイキングで信長の比叡山焼き討ちについて色々聞いたので、それならば焼かれた比叡山に行ってみようと、歩く、見る、聞くの我が隊はさっそく電車に飛び乗った。しかもこの地は比良のある方のお膝元ではあるが、ただいまお留守と知っている。その隙を突いて石だらけの町並みを楽しむのだ。

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そもそも坂本は穴大衆(あのうしゅう)と呼ばれる城の石垣などを作った石工集団の出身地。大小さまざまな自然の石の声を聞きながら、隙間なく積まれる様は美しい。それは普通の民家にもあり、苔が生すほどこの町に溶け込んでいた。

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ヨシコが青い顔をしているので、これはエネルギー切れだと悟り、食事する。そこはおじさんがひとりで切り盛りしていたのだが、注文も聞いて、キッチンに戻って調理もしたりと大忙し。ヨシコの顔も赤みを帯びて、腹ごしらえ完了。では参りますか。

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日吉神社に入るなり、冷りとした空気に包まれる。どこか違う空間に来たのではないかと思うも、それはすぐ近くに小川があるからと知る。そこにかかる橋も石造り。これはすごいなぁと、感動。もちろん鳥居も石造り。

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その小川に少し入ると、何とも素敵な場所にでる。流木が長い間この石にはさまれ動かなかったからか、その流木からキノコが生えている。ヨシコはそれに気づき、川の上を石伝いに近づくも、その帰り際、石がぐらついて川に落ちそうになる。ボクはそれをただ眺めていたのだが、ヨシコはどうして心配してくれないのよー!あやうく川にドボンよ!そう言えば西表島のマリウドの滝のときも、滑って滝に落ちかけたのに、心配してくれなかったわよねー!とえらく昔の話まで引き合いに出される。

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でもヨシコよ。座間味島を思い出してごらん。連絡船から島に飛び降りて1分後。大人5人分ほど大きく「すべる」と注意勧告された階段で、見事、南国の海にむけてすべっていったアナタに、どう事前に注意し心配しろと言うのかね。大股開き、空高く両足をあげ、お尻は海苔まみれ、服を破りながら転がっていったアナタの姿を見て以来、今日の川なんてどうってことはないのです。

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日本一長いケーブルカー、比叡山坂本ケーブルの車掌さんが色々と話しかけてくれる。昨日の今頃、夜行性であるはずの大きな角をつけた鹿さんがいたことや、このケーブルカーの仕組み、通り抜けているトンネルの長さ、この勾配について、大正14年に建設されたケーブル延暦寺駅についてありとあらゆること。それはそれはこの地を愛するかのごとく、僕たちに語りかけてくれ、送り出してくれる。こんな出会いは本当にうれしい。

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坂本駅を出てすぐ、霊窟の石仏がありその数は200を越えるという。織田信長の比叡山焼き討ちの際、亡くなった人達の霊を慰めるために地元の人たちが石仏を刻み冥福を祈ったと伝えられている。比叡山の焼き討ちにしても、京・大阪の空襲にしても、原爆にしても、イラクにしてもそう、人間は火をつけて最後の勝負をする。それが人間の業と言うのであれば、比叡山の麓にあり、焼き討ち後の復興に尽力した天海僧正(慈眼大師)をまつる慈眼堂やこの霊窟の石仏のように、そこから新しく一歩を踏み出すのもまた人間なのでしょう。

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さて比叡山延暦寺は人と車でいっぱい。気温は14度。あやうくTシャツだけで来ようとしていたのだが、上着を持ってきて正解だった。開祖である最澄は、お茶好きのヨシコによると中国から日本に茶種を持ち込んで、この日吉の地に日本最古の茶園を開いたとか。それはヨシコが愛読している昭和48年の別冊太陽「茶」によるもの。余談になるが、ボクたちが生まれる前に発刊されたこの雑誌の写真は美しい。茶器にしても、田んぼの写真にしても撮影する人にその物を見る目がしっかりとある感じがするとヨシコは言う。写真は解像度ではない。撮影するその人の心の持ち方こそ、人を魅了する写真となるのだろう。また他の昭和40年代の雑誌を読んでいると、その文章も秀逸である。それもきっと聞く耳、見る目、確かな国語力があるからであろう。

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おや、早く帰られるのですね。

行きと同じ車掌さんと一緒に下山する。帰りもボクたちを覚えてくれていて、これまた色々と教えてくれる。こんな親切な方がおられるのだなぁと、ふと名札を見る。

・・・ヨシコよ、車掌さんの名前知ってた?

見てないけど、どなた?

タニグチさん。

恐るべし坂本。この地の石組みのごとく隙なし、比良のあのお方。遠く離れても、坂本を案内せしは同じ性の方と知り、ヨシコと大笑い。

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ピューヒョロロロロー。

夕暮れ、比良にはトンビが舞う。美しい青の中を悠々と飛ぶ彼の羽毛のひとつひとつが見えるほど近くを舞われたことがある。それはとても感動的な瞬間だった。

ピューヒョロロロロー。

帰りの電車の中で寝息をたてるヨシコ。起きたら目の前に握り寿司があればいいなぁと言って寝るのはいいが、その紛らわしい寝息はどうにかならないのかね。そんなボクたちを乗せた電車は比叡山を後にし、日が沈む方へと走っていく。それはまるで太陽が沈まないようにどこまでも追いかけているようだった。

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コメント

HPの写真に??何故家の庭にまったりし隊さんがいるのー?

何々、私がいないのが分かっているから進入したって!!

そうは行きません、気が付かなかった?

今日、私は変装してケーブルカーを運転していましたよーーー?

投稿: skog | 2008年10月13日 (月) 00時24分

いやぁ、変装を見抜けず、すっかりお世話になっておりました。
本当に不思議な感じでしたよ!

何だか今日の旅で、比良歴史ハイキングが一区切りしたような気がします。また坂本を歩いていますと、あれ?この道は車で母のひとあじに向けて皆で走った道だな!?とか、おもしろかったです。

あとで知ったのですが、日吉神社内にも樹下神社があるんですねー。ボクとしたことが見逃してしまいました。また坂本に来なさいということでしょうね!

投稿: セカチノフ | 2008年10月13日 (月) 01時05分

この界隈は歴史的な興味が尽きませんね!
紅葉の季節にじっくり歩いて、そして変装されている車掌タニグ
チさんの案内を聞きにいこうかな!


投稿: くま先生 | 2008年10月13日 (月) 22時36分

くま先生。

お久しぶりです。
坂本もいいけれど、もうすぐかんじる比良ですよっ!
そこには変装していない車掌さまがお待ちかねのハズ。

もちろん先生のレポートなしに終われませんからねー!

投稿: セカチノフ | 2008年10月14日 (火) 22時44分

今年、4月ころに『本能寺の変』がマイブームだったので、坂本とか行ってみたかったっす。

遅ればせながら、お誕生日おでとう!

投稿: おにまゆ | 2008年10月20日 (月) 00時54分

オニギリマユ。

元気かえ?おかげさまで32歳やわ。
こっちへ遊びに来るときは、我が家に泊まればええし、
酒もたらふく用意しておく。

ほんでもって坂本にでも行こう!

投稿: セカチノフ | 2008年10月20日 (月) 23時11分

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