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シンデレラ

特別な日。

それはすき焼きが食卓を飾る日。幼少のころ、寒くなり家に帰ってくると食卓にカセットコンロが置いてある。だがまだ安心してはいけない。次に登場するのが土鍋か、それとも何十年も使い古された南部鉄器の黒く重い鍋か。ここが運命の分かれ道なのである。土鍋と違い、南部鉄の鍋は重いので、親父がゴソゴソとすると「すき焼き」への道が開かれる。そこから立ちのぼる甘い脂の香。それは特別な日への誘いなのだ。

さて今日はボクの誕生日。そう特別な日なのである。ヨシコにどう過ごそうかと相談され、家で「すき焼き」を食べたい!と提案した。

それはいいわねぇ、ヨチュオさん。それじゃぁ、会社の帰りに「美味しい」肉を買って帰ってね。

えっ?ボクがですか?

はい。そうですよ。

これまたヨシコがお肉を買ってきてとは言わず、「美味しい」という形容詞をつけたものだから、本日、会社帰りに百貨店へ。ヨシコはすでに待っていて、自分の誕生日のごとく数ある肉の前で嬉々としている。パックで買うようなものではなく、おばさんと笑い話しながら量り売りしてもらう。やっぱり対面式が好き。

niku

うまーい!!!

肉を焼きながら醤油と砂糖で味をつけ、頬張る。その肉のうまみを吸い込んだ野菜も申し分なし!これこそが特別な日にだけ味わえるのだ。何でこんなに美味いのか。そもそもすき焼きとは、その昔、使い古した鋤(すき)の上で鴨肉やら野菜を焼いたことが起源のひとつと聞いたことがあるが、それを実行した世界で最初の人にお会いして、握手をしたいぐらいである。そして家のスピーカーから流れる名曲ハンバート・ハンバートの「大宴会」。

歌え 踊れ 乾杯しよう 歌え 踊れ 夜を賭けて♪

niku

お酒もすすみ、すき焼きでお腹いっぱい、さらに食後のケーキを食べ、ほっと一息。するとタタァーッ!とヨシコが片付けていく。気づけばテーブルの上に何もない。

エッ?さっきまでの楽しい宴はどこへ?そして家のスピーカーから流れるハンバート・ハンバートの「荒神さま」。

おめえ、食うもの食って、ごろごろして、殿様気取りか 黙っておれば このごくつぶし♪

まさに奢れる人も久しからず 、ただ春の世の夢のごとしである。その理由を探そうとほろ酔いの頭で時計を見ると、もうすぐ夜12時を迎えようとしている。

ハッ!その先は・・・普通の日。

魔法がとけるとき、シンデレラってこんな気分だったのかなぁ。そうだガラスの靴を落とそうと、ボクは靴下を脱ぐ。でも怒られそうだから、脱衣所のカゴに入れておこうと立ち上がる。するとヨシコが洗い物をしながら、今日も楽しい日やなぁ。32歳の誕生日おめでとうと言う。そして家のスピーカーから流れるハンバート・ハンバートの「おいらの船」。

おいらの住む家は、お前と住む家は、二人で住む家はいつでも明るい♪

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コメント

幸せなお誕生会でしたねぇ♪♪
おめでとうございました!!

二人で住む家はいつも明るいって
本当に最高に幸せですね(^_^)

投稿: ほっとママ | 2008年10月12日 (日) 21時59分

ほっとママさま。

それはそれは楽しい誕生日でした!すき焼きって子どものころから年に何回も食べれるものではないので、ボクにとって特別なんですよ。

今は、一生使えるようなすき焼き鍋を物色中。

ちなみに今日、坂本と比叡山に行って来たのですが、帰りにあやうく大津京で下車しかけたんです。でもよく考えると母のひとあじ、先週行ったばっかりなんですよね。今宵、贅沢は敵とばかり、西へ西へと帰りました♪

投稿: セカチノフ | 2008年10月13日 (月) 00時40分

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