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暴走列車

ちょっと、辛子酢味噌の様子を見てきてー。

ヨシコにそう言われ、そんなもの我が家にあったかな?と思いながら立ち上がり、冷蔵庫に向かう。そこには皿に入れられた辛子酢味噌があって、その様子を見る。見たけれどどうしたらいいのだ?

様子を見るって、味見してってことよー!

と背後からヨシコの声。ただでさえ酸っぱいものが苦手なボクに酢味噌の味見をしろといわれても、酸っぱいとしかいいようがないではないか。

はぁぁ、お肉食べたいわぁ。

ヨシコは昼食の準備をしながらずっと言う。カリッカリのガーリックに~、ステーキ。想像しただけでお腹が減ってきたわぁ。台所から小さく聞こえてくるそんな声に答え、

ヨシコよ、現実は大根だよ、大根。

居間で窓からの景色を見ながらボクは大根をひたすらすっている。

何を言ってるの、お肉はないけどねー、心は錦よー!

いや、だからお肉が食べたいと言っているのはアナタでしょ?

あっ、そうでした。

野菜たっぷりの食事を終え、おいしかったね、と終わると思えば続きがあった。食後、ヨシコはしばらくしてお昼寝をしようと布団にもぐりこむ。中々、寝付けなかったのであろう、珍しく携帯電話でテレビを見始めると、そこに映っていたものに過剰反応をし始める。

ホルモーン!!

何を寝室で叫んでいるのだと駆けつけてみると、小さな画面に京橋のホルモン焼きがおいしそうに映っているではないか。ヨシコの心に再び、お肉登場。

はぁああ、父ちゃーん。カルビだよ、カルビ。ハラミだよ、ハラミ。はぁぁ、ステーキ~。

そんな言葉を発し泣きながら眠りにつく。いつもならグーグーという寝息も、心なしか今日はギュー(牛)、ギュー(牛)と言うではないか。

冷蔵庫には野菜のみ。しかたなく着替えて近くの肉屋に自転車を走らせる。昔、肉屋で働いていた経験と量り売りのおばちゃんと相談しながら、おいしそうな肉を選択。焼肉のタレも成分表を見て、これなら問題なしとレジに並ぶも、お客さーん、そのレジもう閉まってまーす、と言われる。よく見ると確かにレジ休止中と書いてある。成分表は見るが、この札を見ないとはどういうことだと思いながら、いそいそと移動する。

帰ろうとすると雨が降り出したではないか。いつも雨が頬にあたると、我は海の子、白波の~と歌いだしてしまうが、よく考えると奈良出身なわけで、海なんてどこにもない。まぁ、海から蒸発した水が降っているのだから、それはそれで良しとしよう。

むくりと起きだしたヨシコの前に、鉄板を広げる。

父ちゃん、もしかしてお肉?

そうだ、お肉だ。黒毛和牛のカルビもハラミも、ハネシタもあるぞ。メインはこれだっ!とばかりにステーキ肉も1枚ドドーンと焼き始める。部屋にたちこめる甘い脂の匂い。ヨシコはすでにフォークとナイフを持っている。ミディアムレアでいただこうと、焼肉奉行の腕がなる。よし、頃合だ。火元調節はヨシコ側にある。

ヨシコよ、火を切って!

オッケー!!!

急いで切り始めるヨシコ。

違う違う、肉じゃなくて、火、火!

えー!だって食べたいもーん。

肉を切りつづけるヨシコにむけて、我が家のスピーカーからハードロック、AC/DCの歌声が聞こえてくる。その曲のサビはこうだった。

暴走列車!脱線したまま突っ走る!

これ、ヨシコの歌だよね?

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