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武奈ヶ岳

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今からあの頂まで登ります。

ここは武奈ヶ岳、西南稜。比良山系の中でも特に雄大な景色ではないかと思う。今日は単独行。標高1000mを越えると日差しをさえぎる木々は何もなく、夏だったら大変だろうなぁと思いながら、春の稜線歩きを楽しもうと歩き出す。

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さてそれより2時間前。

京都は出町柳から坊村行きの始発バスは登山客であふれていた。臨時バスが出るほどの盛況で、一路、大原を抜け、坊村へ。車窓からは山林へと続く道端、お地蔵様が朝日で輝き、鯖街道を駆け上がるサイクラーを抜き去っていく。昭和30年代はこのバスもなく、出町柳からスキーを担いで歩いて坊村まで行く人もいたと聞いたことがある。いつもは琵琶湖から見慣れた比良の山々もまた違った表情を見せているのだ。

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平を過ぎると、そろそろ子どもが川遊び。

その後、坊村に着き、ツバメが忙しなく飛び回る中、ストレッチなどをこなし比良山荘の前を通る。おぉ、家が移動しているではないかと見物しながら、地主神社まで。

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明王谷の橋を渡る。

夏ならばここから入渓して、三ノ滝まで沢登りをする人もいるのだろう。明王院を過ぎると、御殿山への登山口が待っていた。

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何じゃこりゃぁあ!

いきなりの急登である。朝5時半起きの体には辛いものがある。アキレス腱が伸びきるほどの感触は、上高地は焼岳へと続く中の湯の登山口を思い出す。りんどう平まで、どうしてこんなしんどい思いをしてまで登るのだと自問自答したものだ。周りはすっかり新緑で、高度を上げるにつれ陽も差し、キラキラと輝いてくる。適度な水分補給をしながら、どんどん登る。

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1時間ほどの急登と耐えると、緩やかな谷へと入る。

日頃の不摂生が祟る大人とは違い、子どもたちは野を駆けめぐる鹿のごとく軽やかに走っていく。そのお父さんは冬の武奈ヶ岳をご存知のようで、この谷は冬ともなると雪に埋まり、お尻ですべって帰れる場所だと、子どもたちに教えている。そこから御殿山(1097m)へ登るとお腹がグー。そんな時には素麺でもすすりたくなるワサビ峠へと、あちこちに咲いているスミレを見ながら進んでいくのだ。

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振り返れば歩いてきた山々が連なる。

鳥谷山や蓬莱山、京都の北山まで丸見え。そして小さなケルン越えた行く先には武奈ヶ岳が見え、あと少しとばかりペースを上げる。

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坊村から2時間で武奈ヶ岳の山頂着。

360度さえぎるものがなく、琵琶湖やリトル比良の尾根、安曇川や畑の棚田、朽木が眼下に見える。最高の気分。そして標高1214mで食べるお弁当のおいしいこと。ヨシコが朝5時から作ってくれ、今日は存分に山登りを楽しんできてねと、快く送り出してくれたものだ。このおにぎり、その米は針江でつくられたものだから、そちらを向いて、ありがとうございますとばかりに食す。こりゃたまらん!

背後ではおばさまたちの会話がはずむ。

やっぱり武奈ヶ岳は70歳までしか無理よねー!

・・・十分だと思う。

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そこから一気に下山開始。

イブルキのコバ経由で八雲ヶ原へ向かうも、気になっていた望武小屋に気づかず。おかしいなぁと思いながらも、残雪を踏みしめ、沢の音、カエルの声、鳥のさえずり、気持ちよい風の中を進んでいく。冬と春が混同しているような世界。同じ日に味わおうと思えば短時間で南北に旅するか、垂直に旅すればいい。高度の差は季節の差でもある。それが山の面白さだと思う。

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そして豊かな水は登山道へあふれ出す。

琵琶湖側は花崗岩も多く、岩肌を綺麗な清水がさらさらと流れて、やがては海へと行くのだろう。登山靴を濡らしながら歩き続け、昼間の太陽の熱をやわらげてくれる清涼感に助けられる。

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比良スキー場跡。

2004年3月31日をもって営業を終了した比良登山リフトやロープウェイ、そしてこのスキー場。5年後の姿がここにある。巨大なグランドのようで、まだまだ森になりそうもない。しかしながら、いつかのニュースで、人が山上に集わなくなったことで、比良の水質が少しずつ改善され、大腸菌の検出もなく、再び飲めるようなったと聞いた。

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ちょっと危ないかも。

八雲ヶ原の湿原は油がすごい。すっかり虹色の池になっていて、どこぞのキャンパーが垂れ流したのか、何がどうなったのか確証もないが、とにかくとんでもないことになっている。またその上にかかる橋も老朽化が進んでいて、そのまま踏み抜いてしまいそう。金糞峠方面からどんどん流れ、この湿原に入ってくる水が美しいだけに、何とも情けない気持ちになる。幸い踏み抜くことなく渡りきり、そのまま北比良峠へ。

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そもそも比良における生活手段ではない登山は1916年、2名のドイツ人が北比良の人の案内を受けて堂満岳北壁の雪中登山に成功したことに始まると、「比良の父・角倉太郎」という本にある。北比良峠から見下ろす琵琶湖をみていると、彼らが見た景色というのも、さぞ美しいものであっただろうと想像してしまう。ここは琵琶湖から吹き抜ける風が気持ちいい。のんびりしていると、眼下に広がる神璽ノ滝へと抜ける急斜面のザレ場を、おじさんが滑っていった。大丈夫かなぁ?

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イワカガミが群生するする道。

北比良峠からはダケ道を下ると、シャクナゲが満開。山道の両端に咲き乱れ、いい時期に来たものだと、嬉しくなる。そこからはさすが比良。岩がゴロゴロとした道となり、浮石のようになっていた場所で捻挫しかける。踵までの登山靴は必須ですな。助かりました。また岩の上から木々が生えているのを見ると、たくましいなぁと感心してしまう。またあちこちで雪の重みでか木々が倒れ、荒れ放題。沢の音が近づいてくると、そこは大山口。

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とにかく気持ちがよい。

汗まみれの顔や足を清流で潤す。水温は極度に冷たく、凍ってしまいそう。なぜかすぐ横に小さな椅子があって、思わず座り込みのんびりしてしまう。

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ここまで来ると、知った道である。

正面谷をイン谷口まで抜けるのだが、琵琶湖が見えてほっとする。それにしてもアスファルトってどうしてこんなにも固くて、歩きにくいのか。山の柔らかな感触が恋しくなる。

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skogのご主人に見送られ、ほっとすていしょん比良へ。

ほっとすていしょん比良では、ほっとママと、ほっとパパ。ホットコーヒーをいただいていると、葦笛のホットラインさん登場。どこまでもホットのはずが、ロシア人3人来店。ほっとママは最後まで日本語で素晴らしい接客、一部、ボクが英語で通訳。急に多国籍な雰囲気に。ちなみに帰りの電車も横に外人。何で?

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ヨチュオさんお帰り。

気持ちよく送り出してくれたと思えば、何とヨシコが駅近くまで迎えに来てくれる。優しすぎるではないか。

さっそっくヨシコがお腹の子に報告。

もしもーし!ヨチュオさんが無事に帰ってきましたよー!

身重の母ちゃんを置いて、ひとり楽しく山に行くなんてちょっと恨んじゃうよねー。今日はね、父ちゃんのおごりだよ。いつもよりちょっと高いもの食べようねー!

あれ?ちょっと恨んでる?そうなの?

冗談よ。

とりあえず・・・乾杯!!

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