針畑郷

わしはマリンバに興味があるのだ

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何か質問のある方はおられますか?

吹雪の中、命がけで来たマリンバ奏者の方が会場の人に声をかけると、ハイッ!そのマリンバは何という木で出来ているのですか?日本の木ではこんな音は出ない!とおじいさんが手を挙げる。

林業が盛んだったからだろうか、針畑郷のおじいさんたちは木材に興味津々。この木はローズウッドという木で、南米の木なんです。どうぞ興味ありましたら、ぜひ皆さん触ってください。すると子どもは、道化師のギャロップのごとく体育館を走り回るだけで、おじいさんたちがわーっ!とマリンバに近づく。そしてこうなっているのかぁ、とばかりにあっという間にマリンバを解体してしまった。

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今日は針畑郷のふるさと感謝祭。小さな体育館に10人も満たない小学生の発表を、地域の人が優しい目で見ているのです。ヨシコも感極まって泣いています。また町とは違い、自分の子どもをバシャバシャと写真を撮影しまくる人もなく、また小さな子のお守りは、年長の子どもが自然とかってでて、自分の子でない子も地域の誰もが見守っている。また地域の人は子どもたちに仕事を与え、彼らを必要とし愛し、それに子らも応えているのです。

限界集落と呼ばれる地域ではあるが、針畑郷に魅かれて移住する若い世代もいる。ただ受け入れる環境として、この地域は小学校しかなく、教育の問題も出てくるし、代々と続くこの集落に空き家はあれど、古来よりの慣習によってなかなか譲渡が難しい現状もある。ただ老若男女、誰もが針畑郷の風土を愛し、自分に正直に生きておられる人々の集まりだから、個々の活動、生活とともに、ゆっくりとした変化がこの山里に訪れようとしているのです。

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山来帰にキツツキが迷い込む。寒さで倒れていたところをおじさんが連れてきて、ストーブの近くでじっとしているのです。山から来たこのキツツキは、やがて羽をバタバタさせて、また山へ帰っていく。ただケガをしているのかあまり飛べないようで、再び雪の中じっとしているのですが、やがて自然へと帰り、春を迎えることでしょう。

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あるく、みる、きく。この言葉を大切にしながら旅を続けているのですが、最後の聞くということが非常に難しい。誰かが口がひとつで、耳がふたつあるのは、話すことの2倍以上聞くことが難しいからだという話を聞いたことがある。

この針畑郷の旅でも多くの人からお話を聞くことが出来たのですが、このことを町で発信するにはまだまだ通わなくてはならない場所がいっぱいある。今は歩いて、歩いて、みてみて、聞いて。歩き続ければ何かにあたるのです。針畑郷のお宮さんに、ふたりでもう一度参ったときに、雪深い中をヨシコが歩いていく。それを大きな自然の力が小さなふたりを見下ろし、見守っていて、今の僕たちを象徴しているような景色がありました。

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山来帰に戻るとMさんが、小学校から帰って来たの?という。前にあの小さな体育館にオーケストラが来て、会場の8割がオーケストラ、2割が僕たちというおもしろいことになったんです。またそれはそれは大きな音で、子どもたちは指揮者がかっこいいからか、皆真似をしたんです。あっ、また雪が屋根から落ちてきた。でも雪とはあまり戦わないほうがいい。都会の人は何故か底が見えるまで雪かきをするのですが、また雪は積もるのです。そんなにがんばらなくても、掘った先にサクラが出てくるわけでもなく、ゆっくりと春を待てばいいのにね。Yさんが来たよ。もうお帰りですね。

また針畑へ来てください。

Mさんと別れの挨拶をし、ガラガラと扉を閉めて、白銀の世界を歩き出す。お金はなくとも熱き心があるぜよ!と、ヨシコが今後の我が隊の方針を宣言。何で土佐弁なのか分からないけれど、まだまだ旅は続くのです。

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針畑どんど

いつも写真を撮ることを目的にして行くことはほとんどありませんが、

今回は特に。。。撮らなかったなぁ。

でも、こころとからだにはちゃんと残ってます。

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おいしいお餅ができるまで。

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あぁ、素晴らしきかな書初め。

みんなのおもい。

この2日間が今も頭の中をぐるぐるまわっています。

ヨシコ

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吹雪の針畑どんどは温かな希望の炎なのだ

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点火ちょっと待ってー!そんな声をよそに、とっくに燃え上がる針畑のどんど。今日は旧正月なので、嵐が来ようが、雷が来ようが延期はなし!とおばあちゃんがその意義を教えてくれる。今年で7回目を迎える針畑のどんどは、昔から住む人をも巻き込んで、ゆっくりと根をおろしつつあるのです。

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働かざるもの食うべからず。針畑で昼食をいただけることを知ってヨシコが宣言。朝からこの祭りを手伝うぞ!と、5時半に家を出て、途中、近江高島の近くで朝日を見る。琵琶湖がオレンジ色に染まって本当に美しい。早起きは三文の得とばかり、バスに乗り換え朽木まで。バスの運転手さんは、右に曲がりま~す!左に曲がりま~す!と声をあげ、お年寄りに配慮されているのか、とても温かみがある。下荒川から乗車した小さな子どもが暴れだすと、危なーい!まだ座ってなさーい!と運転手さんが注意。その子たちもすぐにおとなしくなるのです。

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ぎゅぎゅぎゅ。雪を踏み固めて祭りの場をつくっていく。朽木からさらに1時間乗ったバスの運賃が220円という安さにビックリ。お願いだから高島市さん、もっと料金を取らないとこの地域を活性化するためにもお金が落ちませんよと嘆く。せめてお年寄りの多い地元の方は格安年間パスで、僕たちのような旅人からは、きちんと対価を払えるようなシステムが必要だろう。ともかく着いてさっそく、祭りの準備を大人から子どもまでせっせと働き、杉、茅(かや)、葦(よし)と積み重ね、どんどを作っていく。葦を触っていると、2ヶ月前の針江での葦刈りに参加したことを思い出す。僕たちの旅もどんどんとつながっているのだ。

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トントントン。吹雪いてきたので、ひとまず餅を山帰来という施設でつきます。Mさんが、用意してくださったお米がみるみるとおいしい餅へと変わっていく。薪ストーブの横でおばあさんが藁(わら)で紐を編んでいて、どうしてそのように編めるのかと聞くと、まぁ、難しいことは覚えませんが、藁を編むのはどうしてか覚えておりますなぁと、経験からくると言う。終始ニコニコ、走り回る子どもたちを見ては、あの子はどこそこの子と誰もかもご存知で、この地域の人間関係は、とても密接なものがあるのです。

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どんどのためにお宮参り。吹雪の中、服2枚で走り回る子どももいる。子どもは風の子、ほっぺを赤くしてケケケとばかりに笑っているのです。真っ白な世界にパッと番傘が咲く。その下でおじいさんが顔に刻まれた年月をくしゃりとさせて、優しい眼差しをくれる。そして膝まですっぽりと入る雪の中、いよいよ針畑どんどが佳境を迎えます。

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大きな炎が吹雪きの中、真っ赤な色を撒き散らす。時たまパンッという竹の爆ぜる音が谷に木霊して、書初めが空にのぼります。毎年、年男、年女が火をつける。今年も大阪から来られた方もふくめ点火されました。ただでさえ真っ白な世界なのに、風下となるとその煙がすごくてさらに真っ白。どんどの周りに紐で年男、年女の人以外の人がどんどに近づけないようになっているのですが、盛り上がってくると地元のあるおばあさんが、子年じゃない人も入るよー!と駆け出して、僕たちもそれに続く。おばあちゃんは走りながら、私は未(ひつじ)年よー!と叫んで炎に向かっていくのです。

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誰もが幸せな瞬間。漆黒の闇に灯る光は、安心感も生む。皆が自然と円となって眺めているのです。この前後で皆と食事をしたのですが、用意してくださったものは、全て地元で採れたもの。乾杯の音頭をとられた方は声高に、ここには野菜も米も鹿も猪もあるぞ!という。また73歳のおじいさん(まだまだ現役!)とお話していると、石油がなくなる?森に行って薪を採ってくればいい。中国産が今は問題だ?それは田んぼで米をつくり、畑で野菜を育て、川に行って魚をとればいい。おかしなものを食べるから、おかしな病気になる。お金はあまり必要でなく、自然の恵みがここにはあるのだと。

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この日に針畑郷の方々と議論したことを書き出すと本になりそうなぐらい濃密なものがあったので省略しますが、この日の最後にこれだけはお伝えしたいと思う。小さくなりゆく炎の前で、ひとりのおじいさんが突然、大きな声で言う。今年も豊作でありますように、ばんざーい!!と。そして僕たちもつられて「ばんざーい!!」と3唱する。そして次に、おじいさんはこう言った。この恵みが琵琶湖まで届き、皆さまにも恵みを与えてくれますように、ばんざーい!!と。僕は思わず泣きそうになりながら、両手をあげて「ばんざーい!」と叫んだ。目に見えぬつながりを大切にする人々の意思を、どうか感じてもらい、川の流れとともに海まで届いて欲しいのです。ぜひぜひ、針畑郷へ。

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